前にFacebookでは紹介したのですが、最近、アメリカ主要都市の街なかに、電動キックボードが置き去りにされているのです。
といっても、それはアプリで上手に管理された近距離移動手段「バード」と「ライム」。
1ドル(110円)の基本料と、1分15セント(20円弱)で乗りたいだけ乗れるのですが、おもしろいのは、
どこに乗り捨ててもOK、
ということ。
レンタル自転車は、所定の置き場がいくつかあって、そこに取りに行って、目的地の近くの置き場に返却しなくてはならない。
中間点に目的地があったりすると、ロサンゼルスみたいな、だだっ広い都市は、結局使えない、ということにもなります。
電動キックボードを使うと、自転車がいかに「邪魔」かということもわかります。
図体でかい、横幅取る、座ってこぐのも疲れるし。
人が立って歩ける場所なら、すいすいと塗って走れるキックボードは小回りがきき、しかも電動なので疲れない。
なるほど~、流行るわけです。
で、ハワイとかだと、すぐに規制されてダメになったらしいのですが、ロサンゼルスはまだ大丈夫。
(と言っていたら、ビバリーヒルズは規制が入っちゃいましたね。)
もうひとつ画期的だなあ、と思うのは、これ、充電式なのですが、電池容量がアプリで見えて、「家に持って帰って充電してあげると、お金がもらえる」仕組みがあることです。
チャージャー、という役割に登録するのですが、近所にいっぱい置き去りにされた、充電が必要なキックボードが見える。
それを充電して適当にまた戻してあげればいいだけなので、時折、大きな車で何台も置きにくる人を見かけます。
会社は、ただアプリを作って管理して、キックボードを街なかにポーンと置いただけ。
あとは人が勝手に仕組みを循環させてくれるエコシステムができあがっているのですね。
それを、「ダメ」と規制するのは、本当に野暮なこと。
車の渋滞が激しいエリアでは、生活のクオリティが台無しになります。
人がイライラし、不満足感を撒き散らし、犯罪を誘発することもあるでしょう。
車を減らそうよ~、と言っても、公共の交通手段を立ち上げるのは、とても大きなお金がかかる。
ならば、UberやAirbnbや、このキックボードみたいに、民間が主導になって立ち上げたイノベーションを静かに見守って応援してあげるほうが、はるかに社会には良いはずです。
日本は、規制が多くて、UBERもAirbnbも、つぶされそうです。
あんなに便利なシステムなのに…。ああ、もったいない。
キックボードなんて、まあ、あの人口密度では確かに無理でしょう。
それ以前に、「万が一、怪我したら…」という心配グセが勝つメンタリティなので、速攻で禁止ですね。
あれもダメ、これもダメ。
安全に、安心に、確実に。
うーん、そんなんばっかりで、何か変化が起こるのだろうか?
成長につながる学びは、どこで得られるのだろうか?
かつて親に何かを禁止されるたびに反発して、こっそり実は影でやったりしてきましたが(苦笑)、その禁止教育は、親の不安を治めるためであって、子どものためでも何でもなかったりしますよね。
社会にあふれる「禁止事項」も、それとまったく同じ。
単なる責任回避のためでしかないことも多いのが残念だし、何より、人の良識を信頼していないのです。
人を成熟した大人として扱ってくれてない。
分別ない子どもみたいに、あれダメ、これダメ、とルールで縛ろうとして、結果、過保護な社会を作っている。
本当に「人」のことを考えたら、イノベーションには寛容になって見守る姿勢が必要なのではないでしょうか。
締めるところは締め、緩めるところは緩める。
緩めながらも、放任はしないで、きちんと見守っていくのは大事なこと。
そして、あ、もうこれ以上は危険だなと思ったら、手を差し伸べて助ける。
そうやらないと、人は育たない。社会もきっと育たない。
自分自身に対しても、過保護になって、甘やかして、禁止事項ばっかり作っていませんか?
失敗しないようにと安全な道ばかり歩いても、楽しくないはず。
ヘルメットもしないで、電動キックボードで、ビュンビュン飛ばすような人生の方が、なんだか景色もすぐに変わって楽しそうです(笑)。