ほしいものは自分で勝ち取る。映画「ドリーム」いよいよ日本公開!

※下記は2017年4月に書いた記事でしたが、その後、日本で「ドリーム」と題して公開されることになったので、あらためて改題して再掲載しています。

⇒ 映画「ドリーム」公式サイト


今年のアカデミー賞にノミネートされていた映画のほとんどが、アメリカではすでにDVD化され、レンタル対象となっています。

DVD化、というのもおかしいほど、最近は皆、ストリーミングで観ているわけですけどね。

(わざわざDVDを買ったり、ブルーレイなんたらとかにこだわっちゃう人もいるのかな…? 少なくとも、アメリカにはあまりいなさそう…)

この週末に楽しんで、ハッピーに涙したのが、こちら「Hidden Figures」。

作品賞、助演女優賞などにノミネートされていた注目作品。

さて、邦題はなんというのだろう?と調べたら…、おや、上映予定がない?

えー、まさか~、と思ったのですが、どうやら、そのようです。

おお、もったいない。

とてもわかりやすく、入りやすく、感動しやすく、涙しやすく、手放しで「おもしろい」映画なのになあ~。

残念です。

アメリカ人ですら知らない事実だったりするのですが、アメリカが旧ソビエト連邦との宇宙進出競争をしていた1960年台初頭。

出し抜かれて、焦り、悔しがるNASAで、大活躍をし、後の成功の原動力になったのは、実は黒人女性たちだった、というお話。

解放運動から間がない頃、トイレやバスや多くの場所で、有色人種専用の区域が決められ、白人と交わることが自由にできなかった時代のこと。

どんなに頭脳明晰でも、どんなに才能に恵まれても、有色人種で、しかも女性で、となると、社会進出のチャンスが根っこから絶たれてしまっていた時代。

ともすれば、セルフイメージはどん底に落ち、やる気は失せ、自暴自棄になって生きてしまいそうですが、そうではなく、権利を主張し、立ち上がり、怒り、静かに闘い、才能を証明し続け、「自らの場所」を勝ち得た黒人女性たちが実在したのです。

アカデミー賞の授賞式では、主人公のモデルとなった実在の女性が、車椅子に乗って登場し、会場からスタンディング・オベーションを受けました。

96歳。まだ健在。

タイトルの「Hidden Figures」というのは、「隠れた人物」という解釈もできますし、数学やら物理学で才能を発揮した女性たちのストーリーなので、 「Figure=数、数式」の意味もたくされています。

こんなに素晴らしい映画で、アメリカでは大ヒットしているのに、なぜ、日本では上映予定がないのか、ということについては、評論家の町山さんが語られていますので、ご参考に。

⇒ 町山智浩 映画『ヒドゥン・フィギュアズ』を語る

ダメ、と諦めちゃいけないんだな。

自分の可能性は、自分で切り開いていかないとな。

差別は誰のためにもならないな。

社会はこんなにも進歩発展したんだな。

いろんなことを考えながら、でも単純に、流れに任せてストーリーに浸れる良きハリウッド映画です。

この映画は、私がちょうど生まれた頃のお話。

「有色人種用」と書かれたトイレは、そんな頃もあったのですよね。

まだまだ、ごく最近のことなのです。

だから、今だって混乱もあるし、誤解もあるし、諍いもあるし、闘いも続いています。

女性の社会参加の問題。

年齢差別の問題。

LGBTへの理解と対応。

さまざまな病気や障害を持つ人の「平等」「権利」「参画」の問題。

日本も、まさに今、いろいろなことに直面していますが、だからこそ、こういう映画が多くの人の胸に届くといいなあと願っています。

次の週末は、友人がおすすめしてくれた「ライオン 25年目のただいま」を観る予定です。