アラフォー女性のクライアントさんとお話していて、気になることがありました。
いろいろと変革を望んでいるはずの彼女が、どうも髪型も同じ、服もいつも似たような系統。
「自分がコントロールできる」ことが大切で、それが自分にとって居心地の良さを生むのだといいます。
目指しているのが、どうやら「居心地の良さ」。
あれ、それって、ちょっと違わない?と違和感を感じて、いろいろ突っ込んでいきました。
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上野「変化がイヤ、ってことですか?」
彼女「イヤですね~」
上野「じゃあ、なんでメイクやマナーを学ぶ講座に通って自分磨きをしようとしてるんです?」
彼女「…昔のキラキラしていた都会出身の同級生に憧れがあって…」
上野「自分を変えたいってことですよね?」
彼女「えっ? …ええ…」
上野「だとしたら、今の居心地の良い状態を出ないとダメなんじゃないですか? 成功者は皆、コンフォートゾーン(居心地の良い場所)を出ろって必ず言いますよね?」
彼女「それが私にはわからないんですね。だって、私にとって、居心地が良いってことが、『幸せ』の条件なんです。人はみな、そういう居心地の良い状態を求めて、幸せを追いかけるもの、と思うのですが、なぜ、そこをわざわざ出ろって言うのでしょう…?」
上野「…(!)」
おお、なるほど!
ここに、秘密の鍵があったか、とハタと気がついた瞬間です。
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こうやって、思考の癖が見つかると、あとは解いていけばいいだけなのですが、その在処は、簡単には見つかりません。
ここからは、絡まって固結びされた毛糸を、細いかぎ針で丁寧にほどいていくような、そんな感覚で、ほぐしていきます。
「コンフォートゾーン」というのは、とてもやっかいなものなんですよね。
太古の昔から、人は、あるいはどんな生物も、種の保存のためにサバイバル遺伝子を磨いてきました。
気候の変化、環境の変化は「死」につながるため、変化=危険、という信号の回路ができあがりました。
今の場所にいなさい。
今の安全を確保し続けなさい。
潜在意識は、常にそう信号を送り続けています。
でも、同時に、「それじゃ、つまんないよ~」という、成長や自己実現の欲求も
端っこから一所懸命、信号を送っているんですよね。
気づいてよ~、もっとあなたはできる。
もっと、この人生ですべきことがある。
だから、挑戦してみようよ~、と。
「あとで後悔するよ~」なんて脅し文句も用意しています(笑)。
その声が「衝動」になって、つい申し込んでしまった講座。
つい買ってしまった本。
つい申し込んだコーチング……(苦笑)。
変わりたい自分と、変わりたくない自分とのはざまで、どうしていいのやら
グルグルと行ったり来たりしてしまう…。
ものごとの価値観も、ある日は「変わりたい」が勝ち、ある日は「変わりたくない」が勝ち。
もう自分で自分を持て余してしまう。
Help me!
そんなクライアントさんに説明したのは、こんなことです。
コンフォートゾーンは、「レイヤー」「層」になっている、と考えましょう。
今のコンフォートゾーンには、十分に親しんで、なじんできたので、それはとても居心地いいんです。
でも、潜在意識はわかっていて、もっと「上の階」にあるゾーンに行ってみたいんですね。
あなたには、行けるよ。
行ける価値があるよ。
自分にもっと自信を持って、一歩、踏み出していこうよ~
そう誘ってくれています。
でも、今の居心地良さを守りたくて、怖くて、不安で、足がすくむ。
じんわりと不快感がこみあげる。
あ、これは行ってはいけない場所なんだと「勘違い」してしまう。
それが、ワナ。
上階のゾーンには、実は彼らなりの「居心地良さ」を感じて暮らしている住民がいっぱいいます。
でも、彼らも、最初からそうだったわけじゃなくて、そうなるように努力したんですよね。
だから、居心地の悪いのは、今「お引っ越し」をしようとしているその瞬間だけ。
転校生のように、慣れない土地に越してきた新参者のように、はじめて会社に出社した新人時代のように。
見慣れない風景や人との関係に戸惑う、その瞬間だけ。
数日もすれば、景色は当たり前になり、人々の振る舞いや言動にも慣れ、自分もどんどんそこに染まっていきます。
もう、以前いた街のことなど忘れて。
以前の学校の友達とも疎遠になって。
新しい世界に、すっかりとなじんで、「居心地がよくなっている」。
新しいコンフォートゾーンが誕生したのです。
だから、「上の階」に行きたいと夢を見るのなら、あえて、居心地の悪いことをしないとダメなんです。
荷物まとめて、お引っ越しの準備をして、トラック頼んで、今の場所を出ていかないと。
その一歩を踏み出す勇気を持てれば、その結果の楽しさを信じて自分を奮い立たせれば良いだけ。
臆する気持ちもわかります。
でも、それこそが「幻想」なんです。
潜在意識が投影する、原始時代の恐怖心。
だから、成長するには、成幸するには、「居心地の悪いこと、こそ、する」。
恐怖心が湧き上がって、足がガクガクと震えてしまうようなこと、こそ、やる。
最初は怖くても、すぐに慣れます。
新しい住民がどんどん不安な顔してやってきます。
そして、あなたは思うのです。
「ああ、私も昔は、あんなだったな…」と。
優しく手を差し伸べて、「大丈夫、安心していいですよ~。ここにいる人は皆、優しい人たちばかりだから」。
そうやって、お迎えしてあげればいいのです。
そして、自分は着々と、さらに上の階に上るための準備をいそいそと愉しむ。
あなたの潜在意識は、ちゃんとわかっています。
だから、こんなブログを読んだり(笑)、セミナー行ったり、自己啓発本を読んで、内なる「自己実現欲求」を満たそうとしているのです。
参考 毎日がなんだか刺激がなくて退屈? それはチャレンジが足りないから