コーチングのセッションでは、親との関係について話題になることも多いです。
親だけではなく、兄弟、姉妹、親戚、それから自分の子どものこと。
肉親との関係って、勝手に切れないものがあるので、よりこんがらがりやすいのでしょうね。
「好きでないといけない」「好きで当たり前」
仲が良いということがデフォルトであって、それがテレビドラマや映画で理想の状態として描かれて。
どうして、ウチはこうじゃないのだろう…と辛くなる。
自分はなぜ彼らが愛せないのだろうと、自分を裁いてしまう。
我が家も、別に問題という問題があったわけではないのですが、たいして仲が良い家庭ではありませんでした。
親がきっと愛情の表現が「不器用」だったんでしょうね。
子どもも含めて、全員が「内向性」が強い家族です。
全員、本が大好き、テレビも大好き(笑)。
そういう「受け身」な情報摂取を好むので、自分から他人に働きかけるとか、なかなか面倒くさいんです。
話すこと、そのものが面倒くさい、って言ってしまうと、どんなヒドイ家族かと思うでしょうが、いたって普通だし、たぶん、とても健全な部類に入るんじゃないかなあとも思います。
今は、そうわかります。
父親が嫌い!クライアントからの突然のメール
親については、それほど語ってこなかったクライアントさんが、ある日、長いメールを送ってきました。
そこには、いかに父親が独裁的で、頭ごなしに怒ったり、娘を侮蔑するような言葉を投げて傷つけてきたか。
号泣させられたばかり、という最新のホットなトピックスも含めて、ヴィヴィッドに書かれていました。
「苦手、というより、嫌いに近いです」
そんな本音のつぶやきと共に。
自分はそこまで親と対立したことはないなあ、と思い起こすのですが、やっぱりないですね。
ゲイであることが幸い(あるいは災い)して、すごく距離を持って接してきたというか、家族という制度にも疑問だったし、家族だからベタベタしなくてはいけないということが理解できないまま育ってきた背景があります。
やりたいことは勝手に相談せずにやってきたし(笑)、大学出た時に、家を離れて一人暮らしも始めて、親のありがたさもそれなりには分かったし。
彼女は、孫の顔を見せたら喜んでくれるだろうと思って、それなりに近くでもあるので、月に1~2度は子連れで戻っていたようですが、それももっと間を開けようと決心をした様子。
やりたいことがたくさんある中、何もこのことに時間を吸い取られて、しかもこんな辛い思いまでする必要はないだろう、と。
「愚痴メールですみません…」
そう言って締めくくってありましたが、私には、彼女がそこまで心を開いて、自分の中のしあわせ感を阻害しているひとつの要素と向き合ったことが嬉しかったし、立派だなと思い、そう告げました。
返信:親は別に友達じゃないから(笑)
それに対して、私なりにポッと浮かんだ言葉をつらつらと長い返信にしたためました。
メールサポート無制限。
時に、セッションで話をするよりも、クライアントに深く刺さり、効果を表すことがあります。
ひとりでじっくりと向き合って、言葉を噛み締めてくれるからかもしれません。
もちろん、文章がいいからですけどね(自画自賛・笑)。
さて、こちらが私の返信、そのまんまです。
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=
愚痴、というよりも、自分の「今」を形作るにいたった重要な要因のひとつですよね。
いろーんな要因が複雑に絡み合って、今の自分というのはできているのね。
その今の自分を、愛しく思えることができるようになったら、過去でさえも、無条件に感謝できたりするものです。
そこへたどり着くには、向き合うべきことに向き合う、とかいろいろプロセスは必要だけれど。
でも、今までよりも、一歩踏み込んで、自分の「見たくないこと」「触れたくないこと」「望ましくないこと」について、書いてくれたことはとても意味が大きいと思いますよ。
自分も親は苦手でしたが、ハワイに移住して、遠く離れた瞬間、突然、大切な存在に変わりました。
日本、という国も、離れた瞬間、天国に見えてきた。
パートナーも、一度、別れてから、ああ、やっぱり一緒にいれば良かった、と思って、復活…
なくなって、初めて見えるものって多いよね。
親は親。
別に「好きだから一緒にいる」間柄じゃないので、好きでいる必要はないよね。
ということが、妹もワタシも、親に対して思えるようになって、それで、適切な距離感を持てるようになった気がします。
親は別に友達じゃないしね(笑)。
そういう友達家族を見ても、羨ましいとは別に思わないので、自分は。
でも、好きとか嫌いとかを超越して、命を授けてくれたことや、大きくなるまで、とくに不自由もせずに育ててくれたことについては、無条件で感謝ができるようにはなりました。
「鏡の法則」って、読んだことがありますか?
人間関係、親と子の関係についても、とても参考になる良い本です。
なんというか、違う世界観が見えてくる、というか…。
まだだったら、ぜひ読んでみるといいかも、です。
こういう「ホンネ」をどんどん自分の中から見つけ出して、アウトプットしていくの、大事です。
我慢せず、そういうものかな、とか納得せず。
好き、嫌い。イヤなこと。やりたくないこと。
そういうものに「正直」になることから、ワクワクする未来は見えてきます。
今日は、メールありがとう~
「ライフ」全般、テーマは何でもOK
これに対して、とても丁寧な感想メールをまた送ってくださいました。
最後の方では、こんな風に書いてくださっていました。
「なんか、上野さんの返信がとっても新鮮でした。私はいつも意見を投げかけながら
相手の反応を予測してしまってるんですが、まったく違くて。
上野さんがコーチで本当良かった〜と思ったメールでした」
あ~、良かった、良かった。
とりあえず、気持ちに染みていったようですね。
なんか悩み相談とか、してはいけないのでは? もっと強くならなくてはいけない?
と勝手に思い込んでいる人もいるのですが、「ライフ」のコーチなのですから、目の前にあるすべてのことがトピックであり、テーマなのです。
その中で、今、何にフォーカスしたいのか。
それは、クライアント自身が自分で決めること。
まん丸の丸いしあわせバランスを創るために、大きく欠けて、尖ってしまっているところはどこなのか。
それがわかるのは、本人しかいないのです。