自信がないから、やらない。尻込みして、できない。怖くて足がすくんでしまう。
そういう気持ちは私も何度も経験しているのでよくわかります。
ただ、いつもいつも、そうやって「やらない」選択をしていると、そのことはいつまでもできるようにはなりません。
だから、自信も生まれません。
堂々めぐりです。
自転車に乗れない81歳の母
とあるクライアントさんに、母の話をしました。
うちの母、実は、自転車に乗れないのです。
乗らない、のではなく、乗れない。
乗り方を知らないまま、81歳になりました。
母の兄弟も姉妹も、皆、当たり前に自転車に乗れますし、私も妹も、もちろん乗れます。
昨年、他界した父親も、自転車もバイクも車も、何でも乗りました。
身体機能が理由でやらなかったわけではないので、母も、きっと練習すれば、乗れたはずです。
でも、「怖くてやらなかった」。
できないことに挑戦する、ということを、あえてするタイプの人ではないのですね。
「それは無理」
そう決めて、やろうとしない。
「いいの、私は、やらなくていいの」
そんな言葉も聞いた記憶があります
一度の失敗がトラウマになって二度目はなし
ハワイ旅行に来てくれた際に、せっかくだからマウイ島の離れ小島の有名なダイブスポットで、シュノーケルをさせてあげようと考えました。
まずはやったことのないという水中マスクをつけて、水に顔をつけたまま呼吸をする練習です。
年を取ってからスイミングクラブに通って、泳ぎにはそれなりに自信があったはず。
そもそも、漁師の家の娘で、千葉の海沿いで育ったわけですし。
で、オアフ島の静かな海で、初めてシュノーケリングの練習をしたわけですが、あやまって鼻に水が入って、パニック。
別に足が立つ場所で、私も父も側にいたのですが、よっぽど呼吸ができない、という束の間の恐怖体験が鮮烈だったのか、それ以来、一切、水中メガネをつけるのを嫌がりました。
幸い、マウイ島では、ボートからでもきれいに見えるくらいにカラフルな魚がたくさん泳いでいるのが見えて、彼女も、たまらずにライフベストをつけて、海に潜っていったのですが、ずっと両手でマスクを持っていて、苦しくなったらマスクをはずして呼吸をして、という変則シュノーケルが精一杯でした。
あまり外に出て行く人ではなかったので、ちょっとしたできごとでも、トラウマにしやすい傾向があったようです。
なのにステージで堂々と楽しそうにフラは踊れる不思議
そんな臆病なところのある母なのですが、実は、私がハワイに移住してから、父や妹と何度も遊びに来るようになり、そこで魅せられたのか、いつしか地元のコミュニティセンターでフラを楽しむようになりました。
先生は経験豊富な方で尊敬できたらしく、どんどんのめり込み、皆と一緒にステージで踊ったりするようになっていました。
父が撮ったビデオを見る限り、なかなかちゃんと踊れています。
そして、何よりも「楽しそう」。
自転車に乗るのは、あれほど拒絶したのに、フラは、自分からやってみたいことだから、怖いとか、できるとかできないとか関係なく、すっと始められたようです。
人前に出るなんて、死んでもイヤってタイプなのに、着飾って、堂々とステージで踊ったりするのを見て、なんとも不思議な感覚がしていました。
「どうせ無理」「私には無理」「必要ない」
口癖のようなその言葉は、何にでもくっつくわけじゃなくて、一応、選択しているんだ、と知ったのです。
好きなことなら怖さも克服。思いの強さが大切なんだ
好きなこと、ワクワクすること。
その興奮や期待のサイズが大きければ、怖さや恥ずかしさなんて、どっかに吹っ飛んでしまう
ものなんですね。
母のごく自然なチャレンジと、見事な成果と、心から楽しんでいる笑顔に、無言で拍手を送りました。
残念ながら、だんだんと足が悪くなり、踊りはもちろん、長く歩くことすらできなくなり、毎朝の日課だった海への散歩もしなくなりました。
皮肉ですが、こんな時、自転車に乗れたらなあ、と残念に思います。
そうしたら、近所の大好きな花の美術館も、すいすい行けるだろうに。
が、80歳の今から、自転車の練習はしないでしょう。
膝擦りむいて、肘を打って、下り坂で壁にぶち当たるようなことは、さすがに無理でしょう。
若い内に、できる時に、やっておくべきことも確かにあるなあと思います。
最初からできる人など誰もいない
自転車なんて、誰でも乗れる。
でも、乗れるようになるためには、補助車つけて、何度か転んで、怖い思いをして、トライアル&エラーが不可欠です。
怖がってやらずに、「自転車に乗れないまま」生涯を終わるのか。
怖さに打ち勝って、淡々と練習を繰り返して「乗れる人」として人生をすいすい泳ぐのか。
ほんの少しのメンタリティの違いが、その先の可能性を大きく変えていくことになるかもしれません。
皆さんは、きっと自転車に乗れますよね?
意識などせずとも、当たり前にできますよね?
昔、どうやって乗れるようになったのか覚えていますか?
何度も転んで、そのたびに起き上がって、年長の誰かにくっついてペダルを漕ぎ、背伸びして、少しでも遠くへ、少しでも速く行きたくて、夢中だったのではないでしょうか。
「初めてのこと」は誰でも怖いです。
でも、不意に足がすくんだら、自転車に乗れない母の話を思い出してみてください。
えい!と勇気を出して、挑戦してみましょう。
今、感じている怖さなんて、しばらくすれば思い出せないくらい、どこかに吹き飛んでいるはずですからね。
「自信」をテーマに書いた以前のブログ記事。
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参考 辛い時には上を向く。自信がなければ胸を張る。スーパーマンみたいに生きよう!
この記事は、無料メールマガジン「未来通信」に掲載した内容をブログに転載したものです。
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