マネープラン ≒ ライフプラン
セミナーでよくお話するのですが、日本語で(カタカナで)「ライフプラン」と検索すると、必ずと言ってよいほど、マネープランが出てきます。
保険、年金、投資。
そのような商品を説明するファイナンシャル・プランナーさんのウェブだったり、それらの商品を扱うおおもとのウェブだったり。
例えば、上記のイラスト図は、JA共済さんのサイトからお借りしたものですが(無断ですみません)、ライフサイクル・イベントという言葉で、いわゆるライフプラン的なものを表現しています。
このように、人生を俯瞰して一生を考えてみましょうね、という誘いは、とても良いと思うのです。
私がライフコーチとして提唱しているのも、それとまったく同じことですから。
だけど、それがお金だけにフォーカスしたものであることで、どうしても「ひずみ」「ゆがみ」のようなものが生じます。
お金の話に持っていくためには、まずは「人生の設計図」を固めたところでお話ししないとなりません。
そういう前提条件がないままだと、「ほら、ここでこんなにお金がいるでしょう?」という具体論に落とせないからです。
だから、どの金融商品も(とくに保険や積立商品)、「典型的な」人生のパターンを持ってきて、モデルとして利用しています。
それが上記の図。
このようなモデル図は、ウェブサイトにたくさん見出すことができます。
20代で結婚して、30代前半で子どもができ、子どもが学校へあがる頃になったら持ち家(庭付きの一軒家)を購入して移り住み、40代後半で子どもは大学へ進み、50代のどこかで、今度は子どもが結婚し、60歳でリタイア。
そして、そこまで。
人生、そこで終わっちゃってるし(笑)。
先日、日本のファイナンシャル・プランナーの皆さんとお話する機会があったのですが、これは過去のものではなくて、現在もファイナンシャル系の皆さんが当たり前に使っている、人生モデルなのだと教えていただきました。
驚愕の事実!(笑)
日本だって、個人の生き方はすでに進化中。
最大公約数で語れない多彩なライフスタイル
これを見て何が驚くかって、全体に貫かれる生き方のパターンが、とっても「昭和」なままだということです。
それも、大都市部ではなくて、それ以外の、伝統的な価値観に縛られた感じの地域の人生パターン。
昭和後期から平成初期のバブル時期には、すでに崩壊していたのではないかと思われるこのような「典型的な」ライフステージのパターンが、今でもまだマネー商品の現場ではモデルとして使われているということに驚きます。
実際、今、こんな「絵に描いたような」生き方をする人、あんまりいないですよね?(笑)
いたとしても、少数派ですよね?
だいたい20代で結婚しないし、もしかしたらずっとしないし、子どももずっと持たないかもしれないし(だから少子化問題も顕著なわけで)。
持ち家を持つことに価値を見出さない人も多いし、60歳で引退するまでに何度も何度も波があるし、会社を引退したって悠々自適じゃなくて働き続ける必要がある人は多いし、選択として働く人も多い。
いわゆるリタイア後、さらに30年、あるいは40年以上も人生が続く時代になっています。
(参考:日本人女性の平均寿命は87歳です。)
60歳でぶった切ってはいけません。
もちろん今でも、最大公約数的を取れば、このようなモデルに近いところで落ち着いていくのかもしれませんが、最大公約数で考えることに、そもそも意味がありません。
ひとりひとり別な人生だし、だからこそ、ひとりひとりに固有なライフプランがあり、それに基づいたマネープランが必要になっていくはずだから。
まあ、あくまでも、ひとつのサンプルを示しているだけですよ~ということなのだろうとは思いますけどね。
ちなみに英語で「Life plan」(またはLife plan template、Life plan example)と検索すると、このようなマネー系の話は一切出てこなくて、ライフコーチのウェブサイトや、ライフコーチが寄稿した記事が上位に並びます。
年表だったり、ゴール設定チャートだったり、夢を呼び起こす様々なツールが出てきます。
マネーは、あくまでもライフのごく一部。
いくら必要になるかは、どんな人生を送りたいのかに左右されることであって、その選択は今や無限大にあるのです。
今でも、会社や社会の制度や多くの人々の根底に流れる価値観が、上図に代表されるような昭和のライフサイクルモデルに則って成り立っているような気がする日本。
でも、個人は実は変わっています。社会や制度がそれについていけてなくて、無数の歪みが顕在化しています。
個人がどんどん先を行って、制度や社会の価値観を根底から変えていくといいですね。
社会の変化を待っていないで、周りに遠慮せず、やりたいことを、どんどんやってしまいましょう~。