先日、40代男性とのライフコーチ・セッションで、ビックリすることを言われました。
「僕はずっとどこか自分が異常なんじゃないかと思って生きてきたんですが、最近になって、単に『内向的』なだけだと分かって、すごくホッとしたんです。」
ホッとしてくれたのはいいのだけれど、それって今まで気づいてなかったの?というところに驚いてしまいました(笑)。
何はともあれ、大きな悩みのほとんどがこれで解消されて、彼は思い切り前を向いて進める態勢が整ったようなので、何よりです。
2013年、スーザン・ケインさんが「The Quiet」(日本版「内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力」)という本を発表。TEDで行ったスピーチが話題をよんで、一気に内向的、という言葉が注目を浴びました。
悩んでいる人が多かったのか、日本ではとくに関連書籍もたくさん出ています。
思えば社会はずっと外向的な人を、良し、としてきたところがあると思います。
子どもの頃から超内向的な子どもだった僕は、社会全体がイケイケムードの高度成長社会では、いつも生きにくい思いをしてきました。
就職を考える頃など最悪で、ネクラ、ネアカと人間をふたつに分ける風潮が出てきて、当たり前のように内向的=ネクラと括られてしまうことが多くて閉口しました。
ただ単に、表に感情や関心が表れないというだけのことで、内面世界では、ひじょうにドラマチックな出来事がいっぱい起こっているわけですが(笑)他人にはわからないんですね。
わかってもらう必要もないくらい本人は楽しく生きているので別に気にもしなかったですが(そういう風に、外と自分をすっと分けてしまえるところが、また内向的な人の特徴なのでしょうが…)、ネクラとか陰気とか表現されるのは心外でした。
2000年に入って、人々がパソコンで仕事をするようになると、メールがコミュニケーションの主流となりました。
書くことを通じて仕事をする時代になったことは、内向型にとっては嬉しい変化です。
僕も就職初期の頃から、いつも書くことをベースとしたコミュニケーション能力で評価していただいてきました。
仕事の現場では、意外に書くことや書類をまとめることって多いものです。
2020年になろうとする今は、もう完全に電話の時代は終わりましたよね。
パーッと周りを明るくする超外向型の人は営業の分野や接待、宴会で重宝されるわけですが、内向型には内向型の強みを活かした生き方があります。
働き方も同じです。
僕は、仕事を通じて、一気にコンプレックスを癒していけたように思います。
書籍「内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力」の中には、内向的な傾向がどのくらいあるかを図る20の質問がありました。
人は皆、内向、外向、両方の性質を少なからず持っていて、環境とのバランスを取りながら、都合の良いようにどちらかの傾向を表に出して暮らしているのだといいます。
あなたは、20の内いくつ自分に当てはまりますか?(あえて少し意訳して分かりやすくしています。)
- グループでの会話よりも一対一の対話の方が楽
- 話すより書く方が自分を表現しやすい
- ひとりでいるのが好き
- 周囲に比べて、富や名声や地位にそれほど関心がないかも
- 世間話は好まないけれど、好きな話題のことを深く突っ込んで話すのは好き
- 話しやすい(聞き上手)と言われる
- 大きなリスクを冒さない方
- 人にじゃまされないで没頭できる仕事環境が好き
- 誕生日はごく親しい少数の友人か家族と祝いたい
- 「物静か」とか「落ち着いている」と言われたりする
- ちゃんと完成するまでは人に見せたり意見を求めたりはしない方
- 人との衝突(摩擦)は苦手
- ひとりで働くことによって、一番力が発揮できる
- 考えてから話す方
- 外出した後は、たとえ楽しかったとしても疲れがドッと出たりする
- 電話を取らずにあえて留守電につなげることがよくある
- 予定がぎっしりの週末よりも、予定がまったくない週末の方が好き
- マルチタスクは好きじゃない
- 集中するのは難しいことではない
- 講義は、参加型より聴講型が好き
さて、いかがでしたでしょうか。
ちなみに僕は、20個すべてがYES。
完全にスペクトラム(幅)いっぱいに振れ切った超内向型なんですよね。
この場でお詫びしますが、いつも電話に出なくてすみません……。
でも、チャットだとすぐに反応します(笑)。
分かってる人は、電話ではなくて、メールやチャットで連絡くれます。
これからもそのようにぜひ、お願いします。
そんなヤツでもアメリカで暮らせてるし、大学院も出れたし、アメリカ人と20年も一緒に住んだし(ちなみにパートナーも自称内向的ですが)、会社の代表もやったし、人前で司会もするし、セミナーを主催して自らしゃべるし、交流会なんか企画しちゃうし。
役割を演じようと思えば、ちゃんと普通にできるわけです。
やらねばならない時は、皆、きっとできる。
スキルさえ身につければ、大丈夫なんです。
スーザン・ケインさんだって、ステージで立派に話して、スタンディング・オベーションをもらっています。
ただ、「誰かのようにやろう」と憧れの外向型を真似ようとするとダメなんですね。
それと、いくら役割が上手にできたとしても、ひとりになる時間が必要。
その必要度合いの多寡と、内向的であることの度合いも比例しているのかもしれません。
いずれにしろ、自分は自分でしかないのだから、自分らしいやり方でやればいいのだと思います。
人を基準に考えても、仕方ないですね。
正解は無数にある。人の数だけある。自分が逆に世の中のスタンダードになってしまえばいいのだと思っています。
僕もそう開き直ってからは、生きるのが本当に楽になりました。
「古い人」が、外向型ではないところを見て何か言ったとしても、気にしなくて大丈夫です。
僕も苦手な団塊の世代の方に、「あんたは弁が立たないからなあ…」と、リーダーには役不足、という言われ方をしたことがありました。
せっかく良いものを持っているのに、という内包された褒め言葉だけを受け取って、あとは無視(笑)。
だって、書いたら、ものすごい弁が立ち過ぎて、日本刀のように鋭い切れ味を発揮しかねないので、抑えているくらいなのを自分が一番、知っているから。
淡々と、黙々と、やるべきことに集中してコツコツ積み上げていけば、きっとあなたなりの成果は出せるはずです。
大事なのは、自分らしい、ということだと思います。
(2014年に書いたブログ記事を、一部アップデートして更新しています。)