Inside Out(インサイド・アウト)
Inside Out。それがこの本の中で貫かれているメッセージだ。まずは自分(Inside)が変わるんだ。そのことで外の世界(Out)も変わっていく。人格形成の大切さを冒頭でガツンと教えられる。
一昨年亡くなられたスティーブン・コーヴィ氏が1989年に出版した本は、新しい時代の古典として今もなお世界中で読み継がれている。Wikipediaによれば、日本で130万部。世界で2000万部とか。
前職では毎週勉強会を行っていて、いろいろと新しいテーマを模索している中で、私の提案でこの本をテーマにさせていただいたことがある。2カ月ほど週に一度、講義形式で内容を伝えていった。わずか30分ずつなので、この深い内容を伝えるのは困難とは思いつつ、できるだけのことはしたつもりだ。後は本を読めと、日英両方をいつも貸し出し用に置いておいた。
自分で読んだのはずいぶんと前だった気がするが、実は言葉が難しく感じて正直ストンと腹に落ちていなかった。3年前には、アメリカ人幹部や中国人スタッフにも伝えなくてはならなかったため、日本語と英語と両方で資料を準備したり、内容を把握していたが、驚いたことに、英語は意外に平易で読みやすいのだった。目からウロコ。
人格形成のための「考え方」の習慣
さて、この7つの習慣。早起きしろとか、運動しなさいとか、そういう意味の習慣ではないし、ハウツー本でもない。とても深く、世にあふれる成功哲学や自己啓発本の土台とでも言える内容だ。
行動の習慣というよりも、「考え方」の習慣、あるいは考え方、思考パターンの変革をうながすもの。優れた人格を形成し、原理原則に基づいた判断をすることで、人は成功に近づいていけるという教え。
なんだこれは。盛和塾で教わる稲盛和夫さんの教えと一緒じゃないか、と思っていたら、2012年7月、雑誌「PRESIDENT」の特集「運をつかむ習慣」内で、おふたりの対談が掲載されて驚いた。
では7つの習慣とは何か
インサイド・アウトの考え方を知って水から変わることを決意し、そして1.主体的になり、2.目的を持って始め、3.重要事項を優先する習慣を身につけよ。ここまで個人として目一杯やりなさい。
(2の、自分の葬式の場面を想像させるのは、とてもショッキングでかつ有効的だし、3の時間管理のマトリックス、重要だけれど緊急性は低いことへの優先度を上げることの大切さは、各所で嫌というほど引用されている。)
その後は人と相互依存の世界に入っていき、4.Win-Winを考え、5.理解してから理解され、6.相乗効果(シナジー)を発揮することで、皆で成功していけるだろう。
最後に、7.刃を研ぐで、継続的な努力を怠らないことを強調。運動や読書、スピリチュアルなことの理解や訓練、社会との継続的な関わりが語られる。
人格とは、「誠実」「成熟」「豊かさマインド」という定義ひとつを読み解くだけでも、本一冊分くらいの価値がある。なんとも密度の濃い本なのだ。
この本の内容は、まさにタイムレス。アメリカで出てからちょうど25周年だけれど、そんなことは気にせず、昨日出た本だと思って読めば大丈夫。すべての人に強く、しつこくオススメしたい。自分もまた読みたくなった。