(私もたいへんお世話になった海外インターン
斡旋エージェント「GCS」さんのサイトより拝借)
日本の友人から、「いやあ、娘が内定している会社を断って、突然、海外で働きたいって言い出したんだよね」と、相談がありました。
思わずガッツポーズの自分(笑)。
いやいや、他人事だからということではないのですが、一流企業で海外駐在までした果てに独立して起業した友人の娘さんのこと。物心ついた時から、父親のそういう姿を見てきたでしょうし、きっと蛙の子は蛙というように、似たような気質が備わっているのでしょう。
就職がイコール就社になってしまう日本の風潮がイヤで仕方ない僕としましては(自分もそうしたくせにね)、超一流大学のNo.1学部を卒業しようとしている女子学生が、海外に目を向けてくれていることが嬉しくて仕方ないんですよね。
別に就職など普通にしなくても、ちゃんと楽しく生きて、人に頼らずに食べていければいいわけですよね。それは決して貧困を意味することじゃなくて、無数にある「お金の稼ぎ方」を自由に選択しただけの話。なのに、日本ではとくに、就職ができないことがイコール、生活していけないかの如く語られてしまう。そういう逼迫した空気があるから、学生も悲壮感漂わせながら、必死になる他ないわけですよね。
確かに貧困層の問題が深刻になりつつある日本ではありますが、だからこそ、社会(=大人)が教えてあげるべきことは、上手な就社の仕方やリクルートスーツの選び方じゃなく、生きながらえるための「賢いお金の稼ぎ方」だったりするのではないでしょうか。
っていうことを言うと、人生の目的や幸せはお金じゃない、とか言う人も出てくるのですが、じゃあ何のために少しでも待遇が良い会社に就職しようとするのでしょうね。安定して、それなりの高収入を得たいからですよね。言い方が違うだけで、同じ話です。
まずは誰しも、食べていかないとならない。その最低線のお金を稼ぐための手段、手法が、就職以外にあるのが見えるだけでも、子どもは安心して将来に希望を持てるようになるのではないでしょうか。
大人たちが、自らを「社畜「だなんて卑下した言葉で自分を語る姿を見せられながら、就職後の未来に希望を持てだなんて、無茶です。
ロサンゼルスの一等地には、巨大なコリアタウン(韓国街)があります。そこには、クリーニング店やらレストラン、マッサージ、食料品店など、彼らの生活に必要な「店」がひしめきあって軒を連ねています。携帯屋さんもあれば銀行もある。英語はなくて、ハングル文字だけの看板が縦横何キロにもわたって果てしなく続いています。
彼らはお金を稼ぐために店を開くんですよね。フランチャイズも大好きで、サブウエイとかヨーグルト屋さんとかコインランドリーとか、権利を買ってノウハウもらって自ら運営を始める。彼らにとって起業とは商売をする、ということ。
まずは自分が食べるための金を作る。そして家族を養うための金を作る。その上で、もっと儲けてベンツに乗って、ゴルフの会員権買って、一流のジムの会員になって、サウナで垢すりしてマッサージしてもらう。
従業員は自分の家族や親戚。利益を最大化するために、皆で必死に汗をかいて商売するんですね。そして、うまくいったビジネスは高く売る。ダメになりそうだったら、さっさと叩き売る。そしてそれを買う人たちがいる。韓国新聞には、そんな事業の売買情報が満載です。
生きていくためのたくましさが全然違うよね、っていうのは、アメリカに住んでいる日本人が皆、目の当たりにして話すこと。良い意味で「泥臭い」。カッコつけてないわけです。実はお手本にできない部分はいっぱいあるのですが(苦笑)、それはそれとして、食べていくためのシンプルな姿勢は大いに刺激になります。食べていくことが満足にできないような状態では、自己実現とか言ってられないですから。
そういう現実を肌で感じるためだけにでも、ぜひ海外に出て、自分の目で確かめて欲しいんですよね。そのためには、やはり1年くらい住むのが一番。
だから、友人の娘さんが就職蹴って、海外で働く体験をしてみたいと思っていることには、つい大賛成の拍手を送ってしまいます。
以前、就活についてのCMをめぐって、こんなエントリを書きました。
⇒ 就活の現実を描くCMが賛否両論で放送中止。希望感がある結末の代案を4つほど考えてみた
友人の娘さんの場合は、ちゃんと内定まで決まってて、あと数カ月もしたらキャリアがスタートする、という時期になっての再考。まったく別なタイプの結末ですね。
それにしても、このエントリの4つの結末、今読んでも秀逸~って、自画自賛(笑)。