成功の鍵は行動力だと皆が言うので考えてみた

portland

今、思い返してみて分かるのですが、経営者をしていた時は、「言うだけ」で良かった部分も多かったようです。

こうしたい、という思いやビジョンがあったら、それを言葉にして伝え、意義に共感してもらい、見守っていれば良かった。

起こすべき行動はどんなことで、いつまでに何をどんなアプローチで、というディレクションだけ行えば、あと自分にできることは最小限の援護射撃と待つことだけ。社員たちが自分の代わりに行動を起こしてくれて、すべては実現に向かって動いていくのでした。

逆に言うと、「皆にやってもらう」のが仕事で、自分で動いちゃいけない、と決めていたところもあります。でないと、人も育たない、皆もやる気が出ない、責任感が生まれない。集団で働くことの良い意味を生み出せないからです。

しかし、フリーランスとして独り立ちしてからは様子が違いました。

自分が行動を起こさないと、状況は何一つ変わらない。昨日の自分と今日の自分はまったく同じ場所にいて、周りの皆が少しずつ前に進んで見える分、自分は逆に後退しているようにしか見えなくなりました。

時には、じっと机に座ったまま、思考に集中しなくてはならなかったり、自分を未来に運んでくれないと感じることに時間とエネルギーを注ぎ込まねばならない時もあります。そんな時に湧き出る焦燥感とは、何ヶ月経ってもうまく折り合いがつけられずにいました。

そんな時に限って、見てしまうのです。「成功は行動力である」とか言う、偉い方の引用文を(苦笑)。

フェイスブックやメールマガジンや雑誌や書籍や、いろんなものを見るたびに、「行動力」という言葉が目に飛び込んできます。皆が動け、動け、と急き立てているかのようです。

そもそも何を意味して皆、 行動力っていう言葉を使っているんだろう、と瞬間、不思議になって調べてみました。すると、「実用日本語表現辞典」というところにこんな表現が掲載されていました。

行動力:こうどうりょく

何かを思い立った際に、実際に行動を起こし、それを実現する力。
または、そうした実現に向けて行動する勇気や度胸などのことを幅広く指す表現。


なるほど、お上手に定義されてます。

思い立つことは誰にでもあると思うんです。アイディアや思いを口にする人もいっぱいいる。だけど、その先が問題で、「実際に行動を起こし」「それを実現する」ことをしなければ、状況は何も変わらない。そして、その行動を起こすためには、ちょっとした「勇気や度胸」が必要なんですね。

初めてのことにトライしようとすれば、自然と足がすくんだりもします。行ったことのない道は、迷うこともあるでしょう。そこで諦めるか、突っ走るか。それが違いを生んでいくわけですね。

足がすくむような壁を感じたら、それは、自分がComfort zone(居心地の良いゾーン)を出ようとしている証拠だから、良い兆候だと思って、そのまま突き進め、と自分に言い聞かせることにしています。逆に、足がすくまない程度のことは、今までやってきたことの延長に過ぎないから、まだまだチャレンジが足りないと叱咤激励します。

このアプローチは、意外によく効きます。やったことのないことばかりをどんどん追い求めるようになる。行ったことのない場所、やったことのないこと、普段は選ばないような手段、初めての人たち…。自分の世界を広げたり、ステージを高めたいと思ったら、そうやってComfort zoneから抜け出ていかないことには仕方ないんですよね。

さて、行動力と言った時に、そもそも、何を行動すればいいんだろうかと悩んでしまうようでは、先に進めません。だから、何かアイディアを思いついたら、「実現のために今、この瞬間、できることは何か」をリストにしてみます。

もちろん、はじめてのことであれば、その中には、ちゃんとリサーチも含まれますが、良くある勘違いは「Over preparation=準備のし過ぎ」です。ここの見極めが難しくて、まったく準備しないで始めても回り道ばっかりしちゃうし、でも先に進むのが怖くて準備にばっかり時間かけて、「まだ動く時じゃない」と行動を後回しにしてもいけない。

動いてみなければ始まらないのだから、まずは小さく試してみてフィードバックを受け、好ましい方向へと軌道修正をしていく。そんなアプローチが一番良いのでしょう。

自分は自分を騙す天才です。本当は怖くて動けないのに、「いやまだ準備が整っていない」と、もっともらしく説得しようとします。臆病者の自分に騙されないで、さっさと行動しちゃいましょう。一般的な僕らの場合、無鉄砲に見えるくらいに大胆に動いて、実はちょうどいいんだろうなと思うようになりました。

やってみれば、Comfort zoneなんてゴムマリみたいに簡単に広がっていきます。その内、あれもこれもできるようになってきて、もっと大きなことにチャレンジしないとならなくなる。自分を成長させてくれる良い循環が生まれるんですね。まさに行動あるのみです。

※実用日本語表現辞典って、何?と逆にそっちが気になってしまって調べると、「日常生活の中でしばしば耳にするものの、意外と正確な意味を知らないことが多い言葉」(実用日本語表現辞典より)を紹介しているブログサイトなのでした。面白いコンセプトです。

※※写真は、今年7月にComfort zoneを抜け出て遊びに行ったポートランドで撮ったもの。自転車ごと電車に乗り込み、子連れ親子と各駅停車の旅を体験しました。見たことのない新しい街での生活体験は、新鮮で感動的でした。