父の容態。末期がんの患者が緊急入院。そして自宅介護へ

kaigo bed

同年代の友人、知人の多くがすでに直面し、あるいはこれから直面するかもしれないことに悩んでいたりするので、リアルタイムの体験を記録する意味でまとめておきます。

火曜日、自宅に介護用の電動ベッドが入ってきたそうで、妹が写真を送ってくれました。木曜には一度、「体験外泊」を行い、そして来週月曜には退院して自宅療養が始まります。

介護、という言葉が不似合いなくらい、現在は元気で自分で起き上がって何でもできるのですが、末期がんがなくなったわけではないですし、危うい状態も一部にあります。でもあえて入院して治療すべきことはもうないんですよね。週に一度、あるいは2週に一度、通いながらで十分だということです。

体調不良で胃カメラ検査を受け、大きな胃がんが発見されたのが8月上旬。その一週間後、検査入院をしてCTスキャンを受けると、がんは肺にたまった水や首の骨にも転移していることが分かりました。

胃がんを取り除いても仕方なく、あとは安らかに余生を送れるように延命的治療をする他ないそうでした。通院での治療を始めていましたが、最初の放射線治療をすると、フラフラになってしまい、歩くことが困難に。

やむを得ず入院したのが9月上旬。その後は、飲む抗がん剤と首の骨への放射線治療を交互に行っていましたが、急に体力が落ちてしまい、やせ細り歩行も困難になったようで、心配した妹の知らせを受けて、僕も予定していた2週間後の渡日の前に、緊急で様子を見に行くことにしました。

もろくなって折れかねない首の骨をサポーターで固定し、抗がん剤でしびれた左腕をリハビリしている間に少しずつ元気を取り戻してはいました。1週間ほどロサンゼルスに帰って、再び9月25日から3週間半、日本へ。

1週間、会わなかった間にまた元気になっており、入院しているべき理由もないことから、退院の話が進みます。

しかし、歩こうとすると動悸が早まって、突如、失神したりしてしまう現象が何度も出て心配されました。心電図を数日にわたってモニター。そしてわかったのが、実はフラフラになっているのは、胃がんとはまったく関係のない心臓のちょっとした疾患だということでした。

基本的にきれいな血管ながら、交感神経との関係で、片方の心房が不規則に動悸が早まることで、血流が届かなくなり、突然動いたり、力を入れたりした時に失神する現象が起きていたのでした。その症状を薬で抑え始めると、今度は一気に元気が戻ってきました。

胃がんや首の状態はそのままながら、食欲は旺盛。スタスタと部屋の中は歩くし、階段の歩行もできるようになりました。

さて、いよいよ退院の話が進みます。日本も、結構、出したがるんですね。次々と新しい患者さんも入ってきて、ベッドも個室はふさがったまま。まあ、今の状態だったら、アメリカでは即日お帰りくださいって感じかもしれません。

AFLACのがん保険に入っていたので、宣告された時に支払われる分と、入院の一部がすでに振り込まれてきました。対応、素早いです。

一カ月前に申請していた介護保険もようやく保険証と「要介護認定4」という審査が降りてきました。これは、歩行が困難だった時の診断に基づくもので、今だとそこまで出るのかどうか疑問ですが、保険で受けられる介護の領域が広がるのは、家族にとっては心強いことです。首の骨がもろくなっているので、そこに何かあると、首から下が麻痺してしまうということで、そこが一番の心配です。日頃の姿勢の悪さも関係している様子。思わず自分の姿勢を見直してしまいます。

僕が日本を出発する当日の朝、病院に家族全員と、看護士さん、そして在宅介護を担当するリハビリの理学療法士さんやケアマネージャーさんらとミーティング。そして決まったのが、トライアルで全員が様子を見ることができる「体験外泊」です。在宅介護をしてくださる皆さんがとても素敵で、何の不安もなく、父や家族のことを託すことができると感じられました。気遣いと、ダイレクトなコミュニケーションのバランスがプロならではです。

本人は家に帰りたくてウズウズしていますので、何でも前に進めていくことに協力的です。最初は不安がっていた母も、そして負担が一気に集まりそうな妹も、だんだんと安心していくことができるような流れで、僕も大きな不安も罪悪感もなく、旅立つことができました。

さてさて、今日の午後、およそ1カ月半ぶりに父が自宅に戻ってきます。一時は、もう戻ってくることはないのかもしれないとすら思っていた家長が、人生の後半40年を過ごした家に戻ってくる。そのことの重みを噛みしめています。

両親がいくつも入っていた保険の整理や、所有物の証書、銀行の通帳、印鑑等々、ファイナンシャル・プランナーの妹がすべて管理してくれているので安心です。入院費や医療保険の払い戻し、がん保険の申請なども任せっきり。

得意そうに思われるのですが、意外に直感的に生きてますので、そういう書類や手続き系、面倒な方で助かっています。