感謝祭の連休、という時期に、なぜか3つの「中毒」に関するドキュメンタリー番組がアメリカの違うケーブル局で同時期に放送されまして、いずれも惜しまれて、この世を去ったスターの肖像的内容だったので、興味深く観ました。
ひとつは、新進コメディアンで、その後の活躍が大いに期待されたクリス・ファーレイ。大人気コメディ番組「サタデーナイトライブ」で一躍人気スターとなり、映画も続々と出演し、これから、という時に、アルコールと処方薬の中毒で亡くなりました。
そして、誰もが知っている、マイケル・ジャクソンと、ホイットニー・ヒューストン。彼らも、いろいろあって、結局のところ最後には薬の大量摂取で人生を閉じることになりました。
クリス・ファーレイの場合は、急速な人気上昇がプレッシャーとなり、自信レベルがついていかず、不安ばかりが先立ち、薬に安息を求めたという話でした。
ホイットニー・ヒューストンは、きっかけはボビー・ブラウンとの結婚で、DVから逃れ、二人で一緒に薬をすることで何とか均衡を保とうとしていたようです。残念なことに離婚して復帰した時には、もう彼女は元のように歌うことができませんでした。そのことで再び依存症に陥り、そのまま過量摂取でホテルで見つかったのです。
マイケル・ジャクソンも、ペプシのCM撮影時に事故があり、その時の後遺症から鎮痛薬などの薬に頼るようになり、その後は一直線。眠らないで済む薬の副作業でまったく眠れなくなり、今度は睡眠剤に頼るようになった。「This is it!」のツアーを前に、やはり眠れないことから専属医師に睡眠剤を要求し、そのままとなりました(自分で注射した、と医師は訴えていたようですが、違法薬であることには変わりなく、実刑判決に)。
彼の場合は、かなり複雑で、かねてから整形への依存症もありました。肌の色、鼻の形、何度も何度も整形を繰り返し、まるで別人のような姿になりました。
要は、「自分が好きになれない」病ですね。
その後も、幼児性的虐待疑惑で長く裁判が続き、心労も絶えなかっただろうと言われています。
マイケル・ジャクソンの番組の後で、それに続く新番組の宣伝がありました。
それが、「Dr. Feelgood(ドクター・フィールグッド)」というタイトルで、毎回、薬中毒でキャリアを破滅させた著名人の生涯を紹介する内容のようでした。
そもそも、そんな風に薬が簡単に手に入る社会の仕組みがおかしいわけですが、有名になっても、お金持ちになっても、彼らが決して「満たされていなかった」「幸せではなかった」しかも「自分を好きではなかった」というようなことを聞くと、「心」というものの複雑さに、あらためて驚きます。
NLPのマスタープラクティショナーの資格を取る際に、2週間の合宿授業を受けるのですが、その最中、毎日、何度も何度も聞かされていたのが、「すべてはセルフラブから始まるんだ」という真理です。
セルフラブ。それも、Unconditional =無条件な愛。自分を無条件で愛するということが、心の平穏や、強い軸を作り上げていくことや、満たされる、ということへとつながっていく。そして、そのことで、はじめて、人を愛することもできるようになっていくのだという考え方でした。
すべての「核」にセルフラブがあり、それが土台とならない限り、いつまでも心は、自分軸は、ふらふらと安定しないままなのだと。
なんてことを思いながら観ていたら、ホイットニー・ヒューストンの番組の中で、こんなことを言っていました。
デビュー・アルバムに収録され、その後も代表曲として人気の「Greatest Love of All(邦題:グレイテスト・ラヴ・オブ・オール、または、愛とは偉大なもの)」という歌のタイトル「Greatest Love=最も偉大なる愛」というのは、何のことを指しているのか。
それは、「Learning to love yourself = 自分自身を愛すること」だったのです。(下記、歌詞参照)
もともとはジョージ・ベンソンが歌い、最も愛された彼女の代表曲のひとつとして、何度も何度も聞いているわけですが、「実は彼女は、こんなことを歌っていたわけですが、それがこんなことになって、なんとも皮肉というか、残念です」との言葉が流れて、はっとしました。
サビのところから、最後の歌詞は、こんな感じです。意味が広がるように、あえて、固いまま直訳的な日本語にしてあります。
I decided long ago, never to walk in anyone’s shadows
If I fail, if I succeed
At least I’ll live as I believe
No matter what they take from me
They can’t take away my dignity
Because the greatest love of all
Is happening to me
I found the greatest love of all
Inside of me
The greatest love of all
Is easy to achieve
Learning to love yourself
It is the greatest love of all
ずっと前に決めていた。人の影を踏んで歩くような人生は嫌だと
失敗しようが、成功しようが、少なくとも私は自分が信じるように生きるだろう
誰かが何かを奪い取ろうとしても、私の「尊厳」だけは奪えない
なぜならば、何よりも大きな愛が私の中に生まれようとしているから
私は、最も大きな愛を自分自身の内側に見つけた
それは決して難しいことではない
「自分自身を愛すること」を学ぶこと
それが、何よりも偉大なる愛
最後の締めとなるフレーズ ↓ が、実は、とても意味深なんですよね。いったい誰が何を予期して書いたのか。
あるいは、これこそが世の真理なのか。
深いです。
And if, by chance, that special place
That you’ve been dreaming of
Leads you to a lonely place
Find your strength in love
ずっと夢に見てきた特別な場所が、
もしかして「寂しい場所」へとあなたを導いたとしても、
愛の中に、強さを見つけ出して
ライフコーチのセッションで私が必ず成し遂げたい、最低限のことは、自虐や自己欺瞞、自責や罪悪感の念を少しでも軽くし、「自分を」「ありのまま」「無条件に」「認め」「愛する」ことができるように、道筋をつけていくことです。
条件付きではなくて、無条件に、というところが、とても難しくて、なかなか壁が乗り越えられない人もいますが、いずれはちゃんと皆、できるようになります。
そのことによって得られる心の平穏レベルがものすごく、そうすると、「人も許せる」「過去を許せる」、そして、障害なく、未来へ向けて歩いていける、という図式です。
名声やお金や人気や豪邸を手に入れても、自分を愛することはできなかったら、何も意味をなさないのですね。
生きる上で、何が大切か。
感謝祭、という明るいはずの時期に、逆にズドン、と暗くなりましたが(苦笑)、いろいろと考えさせられた番組でした。