バランスと誠実。信頼される人になるために、大切にしていること(続き)

7つの習慣完訳

前回、「バランスと誠実。信頼される人になるために、大切にしていること」というテーマでブログを書きましたが、今回は、その続きです。

テーマは「誠実」について。

子供の頃から、どんな人になりたいですか、と聞かれる度に、自分の頭に浮かぶ言葉は、常に「誠実」でした。

どこで、どう教わった言葉だったのかはわかりませんが、人間として、もっとも大事なことのように、いつしか考えるようになっていたのです。

もしかしたら、親が日頃、口にしていたことなのかもしれません。

僕は子供の頃、かなりな嘘つきで、目の前のことを都合よく収めるために、自分では「罪のない」と思っている嘘を平気でつく子供でした。

その嘘は、「便宜上」みたいなもので、大きな罪のあるものではなかったと思いますが、まあ、子供なので、よくバレて、叱られたものです。

たいていは、繁華街に行きたくて、小学生なのに、バスに乗って、駅前のデパートに半日もこもっていたりして。そのために、友達の家に行く、と嘘をついて叱られた、とか、そんなようなことです。

その度に、嘘をつかないことの大事さとか、誠実であることとか、きっと吹きこまれてきたのかもしれません。

それでも、誠実、という言葉が意味するところは、ずっとうまく定義できずにいました。

それを、はじめて言葉で表し、大人の、成熟した存在になるために、そして、人から信頼を得続けるために必須なこと、として定義してくれていたのが、名著「7つの習慣」です。

信頼を得るためには、「人格」と「能力」の両方が必要で、ここでいう人格とは、「誠実」「成熟」そして「豊かさマインド」だと書いています。

すべての自己啓発書の原点になっているとも言える、素晴らしい本なのですが、最初の本は、訳が少し読みにくくて苦労しました。

英語はとてもシンプルで、わかりやすいのになあ、と残念に思っていたのですが、そういう声が多かったのか、最近になって、新訳本が出ました。

とにかく「原点」「基本」「原理原則」の塊なので、まだの方はぜひご一読いただきたいですね。

前職では、社員との勉強会に使い、一番、多分、勉強させていただいたのは、プログラム化することや、資料作りやら何やらで、日英両語で、しっかりと読み込まざるを得なかった自分の方かな、と役得だったのを覚えています(笑)。

新しい訳は、やはり読みやすく自然な日本語になっています。キンドル版もありますので、海外の方もぜひ。

日本語では、誠実と言うと、「私利私欲をまじえず、真心をもって人や物事に対すること。また、そのさま」(デジタル大辞泉)などと定義してあります。

確かに、そうかな、とも思いますが、ちょっと言葉がふわふわとしていて、掴みどころがありません。

奉仕、とか、正直、とか、正義、とか、その辺との違いについて、もっと深く定義したくなりますね。

「7つの習慣」では、やや違う趣の定義をしています。

まず、信頼を培うための原則に、「Win-Winの関係を築く」ことがあります。

そのためには、「自分自身に価値を置くこと」。自分の価値観を明確にし、自分にとって、何が「WIN」なのかを知ることからスタートしなければ、決して、Win-Winを達成することはできません。

私利私欲を交えず、というのも、「私利」が明確に定義できていなかったら、意識することも不可能です。

だから、まず、自分にとって、何が大切かを知ることから始めないとならない。自分との約束をきっちり守れるものだけが、人のためにもWINを勝ち得るための決意をし、「約束を」守ることができるのだ、と言います。

それが、誠実、ということなのだと、ここでは定義しているんですね。

深いです。こんな説明では、わからないかもしれませんね。ちゃんと、本を読まないと。

Win-Winを実現して人間関係を築いていく、ということについて、さらにページを進んでいくと、今度は「成熟」とは何かについて触れています。

成熟とは、勇気と思いやりのバランスが取れていることである。

こちらもはじめは、「は?」という感じかもしれません(笑)。

著者は、ハーバード・ビジネス・スクールの教授から、成熟をこう教わったそうです。

「相手の考え方や感情に配慮しながら、自分の気持ちや信念を言えること」

本物のWin−Winを成し遂げるためには、「No」も言わなければいけない時があるのです。でなければ、自分がLoseしてしまうから。

そこで、相手の考え方を否定する勇気が必要になってきます。

その上で、相手の立場や感情を慮り、相手のWinにもなるように考えて、Win-Winの実現に心を砕く。それが、成熟

ここでまた、前回のブログで書いた「バランス」ということがでてきましたね。

人との関係のWin-Win。自分の理想と現実のWin-Win。心と身体のWin-Win。自然と人とのWin-Win。

いろんな関係を、上手に成り立たせるということは、Win-Winの関係づくりをする、といことであり、そのために、やはりバランス感覚が試されていくようです。

人格を形成するもう一つの「豊かさマインド」。これも、大事だし、深いですよね。

「この世には、すべての人に行き渡るだけのものが、たっぷりとある」という前提に立った考え方です。

これがあれば、取り合いをすることなく、分け与えることも簡単になっていきます。

でなければ、Win-Winなんて、あり得ません。

限られたパイを、仕方なく分け与えるのは、Lose-Win。こっそり自分が多く食べるのは、Win-Lose。いっそ、どっちも食べないで我慢するというのは、Lose-Lose。

そうではなく、より大きなパイを一緒に作り上げて、その上で分け合うことができたら、Win-Winが築けます。これが、真の「繁栄」ということです。

欠乏マインドでいると、それはなかなか考えつかないんですね。

「誠実」ということについて思う時、「7つの習慣」の全体を貫く、壮大で、崇高で、毅然とした美しい哲学のことを同時に考えます。

読書をするなら、やっぱりこういう本を何度も何度も、読みたいものですね。