旅から帰って、いろいろとやるべきことが溜まってしまっていて、目をしばしばさせながら処理していた数日。いつの間にやらALSチャレンジが自分に振られていたのですが、Facebookの更新お知らせが溜まりに溜まり、全部見ないで「一括既読処理」をしてしまったがために、招待からすでに24時間以上が過ぎていました。
人から指摘されて初めて知りました。元ハワイ州観光局の一倉さんが日本からわざわざご指名くださったのですが、タイムリーに気づかずすみません。取り急ぎ、そもそもの主旨には賛同しますので、ALS協会に寄付をさせていただきました。すでに100億円以上が集まっているのだそうです。(上の図参照)
別にそれから氷水をかぶっても遅いわけではないのでしょうけど、このバイラルな「プロモーション」(あえてそう呼ばせていただきますが)については、多少、僕なりに考えることもありました。はじめは皆がはしゃいで楽しそうにやっているのが理解できず、とにかく名が知れれば何でもいいのかなと冷めた目で見ていました。もう相当広まっただろうに、どこまで広げれば終わるのかな、とか。
そして、存在が知れると何なんだろう? お金が集まると何がいいんだろう…? 寄付したお金は有効に使われるのだろうか…? そんな疑問が渦巻きます。
あんなにお金が集まったはずの乳がんのピンクリボンキャンペーンで、果たしてどんな進展があったというのでしょう。リサーチにいくら費やせば、予防法が見つかるのでしょう。結局は、医薬業界の思う壺で、僕らは皆、踊らされているだけなんじゃないだろうか…と解決されない疑問でいっぱいになってしまいます。
それは、こんなドキュメンタリーを見たせいかもしれません。
あるいはこれ。これなど、さほど注目されてないですが、中身は強烈です。ぜひご覧になることをおすすめします。Netflixでご覧になれます。
ハワイ時代に近くにいた方の家族がALS?と勘違いするような、似たような症状の難病にかかっていたのですが、それはSCD(Spinocerebellar Degeneration=脊髄小脳変性症)と呼ばれるもので、ALS(Amyotrophic Lateral Sclerosis=筋萎縮性側索硬化症)とは似て非なるものでした。
こちらのサイトで、簡単に違いを説明してくれていますが、普通の人には、なかなか分かるものではありませんね。今回のことで、認知が進むと、良い流れになっていくのでしょうか。
SCDは歩行時のふらつきや、手の震え、ろれつが回らない等を症状とする神経の病気です。動かすことは出来るのに、上手に動かすことが出来ないという症状です。主に小脳という、後頭部の下側にある脳の一部が病気になったときに現れる症状です。
ALSとは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害をうけ、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。その一方で、体の感覚や知能、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。
実はSCDの娘さんと旦那さんを抱える方とは、同じ業界で働く関係にあって、一時期、彼らのお仕事をお手伝いするか、しないか、みたいな話が出たことがありました。細かいことは省きますが、結局は提携が実現することにはならず、何もできなかった自分がずっと歯がゆく残念で、同時に申し訳なく思っていました。
しばらくして、別な友人の旦那さんも、実は同じSCDを患っていることを知りました。極めて珍しい難病を、こんな風に近い方々のご家族がかかって苦しんでいるだなんて驚くばかりです。この病気のことは、「1リットルの涙」で存在が知れてきたようですが、アジア人に多い病気だからアメリカではなかなか認知も進まないのだとも聞いています。
ガンも白血病も糖尿も腎臓病もAIDSも自閉症も、企業や団体があらゆる方法でたくさんのお金を集めていますが、その結果、病気になる原因が分かって、病気になる人は減ったのでしょうか。正しい理解が社会の中で進んで、病気にかかった人の生活が改善されたりしたのでしょうか?偏見は? 尊厳は? 介護などの暮らしのサポートは…?
今回のALS協会については、すでに100億円以上のお金が集まっているし、これだけの注目を集めてしまったので、使途についても皆がシビアに見ていることでしょう。ウェブには、こんな過去のデータが掲載されていました。Public and Professional Educationに32%ものお金が使われてるんですね。患者さんへのサービスにもちゃんと振り分けられていて、そこは安心しました。2014年度は、すでに収入が何倍にも膨れ上がっているので、さあ果たしてどう使うのか。多少なりとも貢献した身としては、注目していきたいです。
基金活動で集まったお金が、ある特定の団体だけの利益になるのではなく、本来の目的に沿って、病気で苦しんでいる患者さんや家族のために使われることを心から願っています!