ハワイの朝5時46分。インドのデリーに住んでいる30代女性とチャットが始まる。互いに、相手の現地時間が何時かすらも知らない。共通言語としての日本時間でスカイプする時間を話し合う。
ふと気づいてiPhoneで相手の時間を見る。日本時間は夜中の12時46分。インドのNew Delhiは…。サーチするとすぐに、夜の8時16分と出る。良し、と思った直後、頭に疑問符が浮かんだ。
「16分…?」
アメリカは国内でもハワイとニューヨークでは6時間の差があったりするから、時差には慣れっこだけれど、区域によって1時間毎にしか変わらない。インドは30分、という単位で時差が区切られていたりするのか…。こりゃまた複雑。
今、参加している、とある自己啓発プログラムがある。オンラインベースで行っていることもあってか参加者の住所は様々。日本がマジョリティながら、ロサンゼルス、ハワイ(今の僕)、インド、上海など、普段なら知り合えるはずのない面々が20数名、夢や悩みを開示したり、アドバイスしあったりしている。
その中で、ひとりとだけペアを組んで、日々の進捗をコーチングしあうということになっていて、僕が忙しくてボーッと見過ごしていたら、誘ってくれたのが、インド在住の彼女だった。
30歳を目前にしたシングルの女性が、何を思ってインドに行くんだろう? 秩序のない場所が大の苦手な僕には、想像もできない。時差だって30分刻み。ネットはスカイプで話している途中もブツブツと落ちる。画像サーチをしてみるけれど、いわゆるインドの風景がたくさん出てきて、つい尻込みしてしまうのだけれど。
2時間後にスタートしたスカイプの会話は楽しくて1時間にも及んだ。
インドにも昨年、スターバックスができたと言う。そこではきちんとトレーニングされたスタッフが、アメリカ風に「Hi~」と挨拶をしてくれるのだとか。清潔な店内で、世界スタンダードのコーヒーが飲めることが、「パラダイス」であると彼女は表現した。
スカイプの向こうは夜中の12時を過ぎているというのに、時折、強烈なクラクションが聴こえてくる。まだまだ発展の入り口に立ったばかりの国には、たくさんの可能性と混沌とが入り交ざり、言いようのないエネルギーを醸し出しているのだろうか。
世界の果てのように遠かった世界が、少しだけ身近に思えてきた。思わず、インド+スタバでサーチをしてみた。