先日ポートランドでWorld Domination Summitを主催したクリス・ギレボー氏がブログで紹介していた本が鮮烈に印象に残って、早速Kindleで購入してしまいました。
本当の著者であるマリーナ・キーガンさんは、2年前、自動車事故で亡くなっています。22歳。イェール大学を優秀な成績で卒業したばかり。在学中から学校の発行するメディアを舞台に執筆をしており、その才能は「ニューヨーカー」誌に認められて、もうすぐアシスタントエディターとして働くことになっていたという時期のアクシデントだったそうです。
彼女が卒業の間際に学内メディアに発表した文章を中心にまとめあげた一冊が、この「The Opposite of Loneliness(寂しさの反対)」。一部の文章がウェブに引用されていて、この短い文章を読んだだけで、彼女が優れた書き手であることが強烈に伝わります。
We don’t have a word for the opposite of loneliness, but if we did, I could say that’s what I want in life. It’s not quite love and it’s not quite community; it’s just this feeling that there are people, an abundance of people, who are in this together. Who are on your team. When the check is paid and you stay at the table. When it’s four a.m. and no one goes to bed. That night with the guitar. That night we can’t remember. That time we did, we went, we saw, we laughed, we felt.
What we have to remember is that we can still do anything. We can change our minds. We can start over. Get a post-bac or try writing for the first time. The notion that it’s too late to do anything is comical. It’s hilarious. We’re graduating college. We’re so young. We can’t, we MUST not lose this sense of possibility because in the end, it’s all we have.
前半部分を簡単に訳すとこんな感じでしょうか。
「寂しさの反対を意味する言葉を私たちは持っていない。もし持っていたとしたら、私が人生において望むものは、それだと言えるだろう。愛と言うのでもない。コミュニティともどこか違う。それは、人々がいるという感覚、あふれんばかりの人々と共にいる感覚だ。彼らは同じチームに属している。支払いを終えてもテーブルから立ち上がらない。午前4時になっても誰も眠りにつこうとしない。ギターと共に過ごしたあの夜。覚えていることなど出来ないあの夜。一緒に何かをした、行った、見た、笑った、そして感じたあの時間。」
この後半部分で、彼女は、「無限の可能性を感じられたあの時を忘れてはいけない。私たちの人生はまだ始まったばかりで、遅すぎるなんてことはありえない」と語ります。語るというか、揺さぶられまくって、訳すのをためらってしまったのでした。力強いです。
寂しい、という感情自体が、そもそも定義が難しいものですね。だからその反対を意味する言葉も浮かばない。寂しくない、という言い方は、寂しい感情の存在を否定する表現ではあるけれど、それは、赤い、に対して、赤くない、と言っているのと同じで、反対語とは違います。
濃密な時を共に過ごして、卒業と共に、それぞれの道へと旅立っていく仲間に対して贈られた愛情あふれる言葉にグッと熱くなりました。
来週半ばにハワイに行くまで、読みたい本もたくさんあって、やりたいことも山積みですが、我慢できずに扉を開けてしまいそうな一冊です。
アメリカ在住の方は、こちらからどうぞ。Kindle、ペーパーバック、いろいろあります。
日本の方は、洋書になりますが、こちらから。(今ってペーパーバックだと洋書も安いんですね。)