ハワイで社長をしていた時についていたライフコーチから、君は人を褒めてるかい?と尋ねられました。
そういえば、まったく意識してなかったこと。
感謝はしてるつもりでも、それを外には出してなかったし、皆も感じてくれてはなかった。
そうか、感謝やねぎらいは、口に出してこそなんだな、と初めて悟れた頃でした。
そんな時、出会ったのがこの「ほめ言葉ハンドブック 」。
日本でもコーチングとか、ほめて伸ばす、とかが流行り始めた頃だったかと思います。
確かに、考えてみると、僕自身、あまりほめられて育ってないので、人のほめ方とか、よく分かっていませんでした。
親も、とっても不器用な世代でして、潜在能力が高いね、って言う代わりに、「お前は、やればできるのにねえ…」とため息ついちゃうタイプ。
ピアノの発表会で上手にできたら、小型ラジオを買ってほしい、なんて話をしても(昭和40年代…)「そんなことのためにピアノを頑張ってほしくない。好きで上手になりたいなら頑張りなさい」と、先にラジオを買ってくれちゃったりして…。
そうじゃないんだよ、おいって感じで(笑)。
ラジオがほしいって言うよりも、何かよく出来たね、頑張ったね、すごいねって、労って欲しかっただけなのになあ…。
潔癖症というか、表現ベタというか。相手を思ってのことというのは伝わるのですが、勉強もピアノも、楽しい体験にさせてはもらえなかった。
っとまあ、不器用な親に育てられると、自分もそのまんま人に対して不器用な大人になっていくんですね。不器用の連鎖です。
なもんで、この本とか、とても参考になりました。
ああ、確かにこういう風に言われたら嬉しいわ。お調子もんだから、ドンドン再現なく頑張っちゃいそう、と思います。いろんな形のほめ言葉があるもんですよねえ。
この中にあった、「なぜ相手をほめることができないのか」という7つの項目が、その当時、かなーり自分に当てはまっていたので、アタタタ…でした。今やっと少し、客観的に見れる状態になっているようです。
ここに少しご紹介します。
なぜ相手を褒めることが出来ないのか? 7つの質問
1)ほめ方を知らないだけではありませんか?
はい。その通り。当時は恥ずかしくて言葉に出せないことが多かったです。今は平然と言えるくらい成熟しました。
2)ほめられると居心地がよくないのではありませんか?
かつてはそうでした。妙に完璧主義で、自分を批判する癖があったりすると、そうなってしまうらしいです。そして、ほめられ慣れてなくて、どう対処していいか分からないと、人もほめられないのだということでした。それからは、人からほめていただいた時には、謙遜の言葉はほんの少しだけにして、ありがとうございます、と素直に感謝の言葉を大切に述べるようになりました。
3)自分のことで精一杯なのではありませんか?
要は人をちゃんと見てないだろ、お前ってことです。小さなことを観察しまくって、「お、○○ちゃん、今日の服はいいね、デートかい?」ってセクハラまがいの観察するのではなくて、「あの仕事のこの部分、とても良かったよ」って、本人だけがわかるプライドくすぐるようなところを指摘してあげて、ちゃんと見ているよってサインを返してあげることが、何よりも嬉しかったりするわけですよね。観察眼とは、対象に対する興味、関心、好奇心、そして愛情が伴わないと成り立ちません。部下や人への愛情が試されているのです。
4)ほめると相手がつけあがると思っていませんか?
日頃からほめていないと、逆に注意したり、厳しく叱ったりができないんですよね。どんどん乗せて、つけあがらせちゃえばいいんです。猿もおだてりゃ…で、何でもやってくれますから(笑)。そしてダメな時は愛情込めて叱る。ほめる習慣さえあれば、その真意がとても伝わりやすくなります。
5)相手より優位に立ちたいと思っていませんか?
セルフイメージの低いボスはこうなりがち。「いやあ、俺なんかにはとてもできないよ、こんなスゴイこと」って自分を下げて相手を上げて、尊敬の念を手放しで示してあげたら、部下は逆に尊敬を返してくれるようになるものです。そんな風に謙虚な姿勢で尊敬し合えるのが、成熟した大人の関係ではありませんか。
6)被害者意識を持っていませんか?
被害者意識っていう言葉が適当なのかどうか分からなかったのですが、自分が本当に上に立っているぞという責任意識を持てているかどうか、みたいなことでした。誰かに何かをやらされているようなメンタリティだと、人をほめるなんて、とてもとてもってことです。下から目線で見ている間は、人を褒めるなど100年早い。上を突き上げてないで、上司でさえ良い所を見つけてほめてあげたらいい。そのくらい、上に立ったものの見方ができると、生きるのがどんどん楽になりますよね。
7)個人的な好き嫌いに影響されていませんか?
フェアである、あるいは常にフェアであろうとする姿勢は、部下は必ず見ています。鋭く見透かされているのでごまかせません。個人的な感情は抜きにして、仕事の成果、努力を公平にほめてあげられるかどうか。そこも上司の試金石ですね。僕もそうですが、近い立場にいる人にほど厳しくし過ぎてしまう傾向があったりして、失敗したことが何度もあります。友だちや夫婦などの関係にも言えることかな。
ほめ言葉の辞書のつもりで買ったのですが、実はもっともっと奥深い示唆に富んだ内容がシンプルな言葉で書かれていて、ひじょうに参考になったものでした。今は文庫になり、Kindleにもなっているようです。この内容が500円で買えちゃうなんて…。オリジナルは2007年ですが、決して古くなることはない内容なので、ぜひリーダー的立場の皆さんはご一読されることをおすすめします。子育てや学校の現場にも抜群の効果をあらわすものだと思います。
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