「アメリカ人事採用者の本音。履歴書は立派で当たり前。勝負はネット上にあり」というエントリを書きました。こちらはアメリカの、それもマーケティング志望者向けの記事をさらっと翻訳してまとめたものでした。一部、これから仕事探ししようという方に参考になったようで、良かったです。
15年近く、ハワイやロサンゼルスの会社で、採用の第一次選考者でもあり、最終決定者でもあった自分が、いったい何を基準に英文履歴書を見て、判断してきたのか。意外にたくさんのポイントがあったりしたので、まとめてみました。
前回の記事で書かれていたメールアドレスのことや、SNSでの発信ぶり、会社のことを調べているかとかは、当たり前のように自分も気にしていました。今回は、それに「加えて」のお話です。
履歴書で書類選考を突破するって、結構ハードル高いんですよね。誰も時間を無駄にしたくないですし、とくに複数の人をアレンジしなくてはいけない場合は、無駄にしかねない時間も相当なものだったりする。そして一旦会ってしまうと、断るっていうのも結構、神経使うものなのです。だから、慎重にならざるを得ない。
でもこの履歴書の段階を良好な状態でクリアできたなら、その後の面接がとても楽になります。
期待値が上がってハードルが上がる場合もなくはないですが、たいがいはいろんなことを「Favorable(好意的)」な見方で受け取ってくれて有利なんです。
採用側だって良い人に来て欲しいし、ちゃんとその時の募集活動で意中の人に巡りあいたいわけです。何度も広告出して無駄な経費使いたくない。だから、「良い人であってくれ…」と祈るような思いで面接に望んでいるんですね。誰も落とそうと思って会ってなんかない。採用させてくれ…という思いにスッと応えてあげれば良いだけなのです。
さて、僕がいつも気にして見ていた7つのポイントを説明します。
1.履歴書はワードのまま送らない
100人の応募があると仮定して、PDFにして送ってくるのは5%いるかいないか、というのがアメリカで日本語ができる人を募集した時の実状です。少なくとも、僕のいた会社の場合はそうでした。
ワードで送っちゃ何がいけないの?と思うかもしれないけれど、1)同じフォントを持ってない場合、機種やOSの違いによって、レイアウトが崩れてしまう場合がある、2)作り方が下手くそな場合、ITリテラシーを疑われる(タブやインデントが使えてない人が多いです。僕は嫌らしく見てます)、3)修正履歴が残る場合もあり、何を書き換えたか一目瞭然で恥ずかしい。
要は、生な状態だってことです。ビジネスの現場で、ワードやエクセル、パワーポイントのまま、お客様に企画書や提案書として出すことはないと思いますが、それと一緒です。っていうか、きっとそのまんま出してそうな気がします…(痛)。アメリカの採用活動、結構たいへんなんです…。
2.カバーレターは絶対につけよう
アメリカではカバーレターをつけるのが一般的なのですが、日本の方からの応募でついていた試しがありません。これも100人いたら5%いるかいないかの確率。だから、ついてると目立ちますし、その人がどうして弊社を選んでくれて、何を目指したいのかとか、ストーリーや思いが伝わって、好感度が200倍上がります。ちゃんと書けてさえいれば。でも日本語だっていいじゃないですか。思いを伝えたい、というほとばしるものが感じられることが大事なだけなんだから。
こんな簡単に目立てることなのに、なぜ皆やらないんだろうなあといつも不思議に思っていました。実は履歴書を添付するだけで、メールの文面もほとんどなく送ってくる人がほとんど。だから、トップ5%に入ることなんて実に簡単なのです。ごくごく些細なことをやってるか、やってないか。それだけのことだから。
3.スペルチェックは絶対にしないと
英語は機械が間違いを発見してくれる便利な言語。なのにスペルに間違いがあったりする。これって、誠意がないとしか見えないんですよね。仕事全般もこんな風に気が入らない人なのだろうか。細かいことに目が届かず、ミスばっかりしてそうなイメージが浮かび上がります。数秒でできることをなぜやらないんだろう。
日本語で誤字脱字がなくて当たり前なのと一緒で、英語はスペルミスやグラマーミスがなくて当たり前。自分で無理ならば、ネイティブに見てもらって、何度も何度も推敲してから完成品を送るのが当たり前、と思うのですけどね。
4.具体的に何をしていたか書いてほしい
日本の履歴書は、事実だけを並べて、いつからいつまで、どこの会社のなんという部署でなんという肩書で働いていたかを書けばいいのですが、アメリカの場合は違います。コンパクトなスペースの中に、「何をしてきたのか」という役割や責任の範囲、成果を端的にまとめて書かねばなりません。日本では分かれている、職務経歴書の役割を一緒に果たしています。
1枚か2枚の中で、ああ、スゴイなあ、と思わせないと会ってもらえないのに、日本のように事実だけ書いてちゃダメですよね。ビジネスパーソンとしての自分という存在をアピールして、他からグンと浮かび上がらないと。
ああ、この人と働いてみたいなあ、こんな人がうちに来てくれたら嬉しいなあ、と思わせるように、ファクトじゃなく、ストーリーを書くのです。その辺は、前のブログでも書いてありましたよね。
そのときの、「単語の選び方」が最重要課題。
これができないから、インパクトに欠ける、つまらない仕事しかしてない、来てもらっても困るかも、アシスタント仕事しかできなさそう、将来性がない、みたいに思われてしまう。
そこは英語の場合、とくに重要ですが、日本語でも結果、同じことなんだよなあ、と思います。
5.ビザのことをさりげなく教えるセンスは素敵
アメリカで日本語ができる人を採用する際に、やはりビザの問題は引っかかってきますよ。ここは率直な話、双方にとってとてもシビアなわけです。
企業側の本音は、面倒なビザ手続きのないグリーンカードか市民に来てほしい。すでに持っていれば、それはもうものすごいアドバンテージだと思って良いのです。だったら明確に書いた方がいいわけですが、書かない人も多い。それだけでものすごいアドバンテージなのに、何とももったいないですよね。自分の価値ってことをトータルで見えてない気がしてしまう。
これからビザのスポンサーがほしい人も、ここはもうぶっちゃけてちゃんと正直に前面に押し出して書いた方がいいと思います。そこの部分の探りあいほど、無駄な努力はない。さらけ出しておいた上で、「弁護士代は自分で持ちますのでぜひ!」くらいの気合いと覚悟を見せたら、おお、こいつは本気でアメリカに残りたいんだなって、感動してビザスポンサーしてくれる気がします。その心意気に乗って、弁護士代も見てやるから心配するな、って言ってもらえるかもしれません。
ビザ目的かよ、こいつは、と思われるのは嫌かもしれませんが、ビザを取れば少なくとも数年間は働いてくれたりするわけですから、そこは持ちつ持たれつ。本気でアメリカに残りたいと思ってない人も多いんですよね。だから、その思いを見せるのは重要なんです。どうせビザは必要になるんだから、だったら、「ネガティブ要素」と思われるより、逆利用しちゃった方が勝ちじゃないですか。弁護士代くらい、こういうリーダーシップ発揮できそうなタイプなら、すぐに給与の差が出て、回収できちゃうのがアメリカです。
まあ、そこまでやらないにしても、今、どんなステイタスでアメリカにいるのかをさりげなく伝える履歴書の書き方ができたら、ああ、コミュニケーションのセンスあるな、気が利くなって思ってもらえると思います。
6.失点になりそうなことは最初にフォローアップ
時に長いキャリアのブランクがあったり、短期間に何社も転々としたりしている人がいますが、そこはやはり事前に説明して、安心してもらうのが、面接にこぎつける上で必要な努力かと思います。でないと、とにかく不安になるわけです。すぐ辞めちゃうんじゃないか、とか、この期間に何があったんだろう…って。スモールビジネスは何人も雇えるわけじゃないから、ここは重要なんです。
カバーレターとか有効に使えると思うんですよね。誠意を持って真実を上手に伝えれば、誠実さが伝わって会ってもらえるのではないでしょうか。もちろん事情に寄りますが。
どうせ後で分かることだし、面接でもそこに意識が集中してしまうので、だったら先にクリアにした上で、それでも会いたい、という会社にだけ面接行けば、自分だって時間の無駄をしないで済みますよね。まずは書類選考突破が第一義。隠しても良いことは何一つありません。誠実に、でも深刻にならずに、明るく「安心してね~」ってトーンで書くのが大事です。後は会ってから面接で話しあえば良いじゃないですか。
7.その会社にあった内容を「作文」すること
履歴書って、皆さんもしかして同じものを何社にも送ったりしてませんか? A社の営業とB社の営業とでは、やることも違うし、売るものも違うし、ポジショニング(業界の中の位置づけ)も違うし、社長の好みや社風も違う。となったら、同じ履歴書を出すなんて、考えにくいものですよね。だからこそ、応募している先の会社やポジションのことを知るのは大事なんです。
履歴書は「創作物」です。オーディエンスがちゃんといて、彼らのツボにはまるように創意工夫を凝らしたエンターテインメントなのです。自分という人間は変わらないし、場所によって自分を押し殺して変える必要もなし。だけど、魅せ方は変えていかないと、そもそも自分アピールができる面談の段階まで届かない。だから、作文しましょう、という意味であって、自分を変えなさい、ということでは全然ないです。あなたはあなたのまま勝負すれば良いのです。でないと、長続きしないもんね。
おまけ 「会いたい!」と思わせる秘密がある
最後にもうひとつ。
実は、これが一番大事なことなのかも知れないのですが、良い履歴書・経歴書って、パッと見た瞬間にわかるんです。そして、心が動くのです。
「あ、この人に会ってみたい!」と。
そう思われる演出力が最重要課題なのですが、それって、じゃあどうやるの?というのを言葉にするのは、なかなか難しい。でも、確かにあるのですよ、空いたくなる履歴書と、そうでない履歴書の間の、れっきとした深い溝が。
こればかりは、コンサルで直にお話する他、なかなか伝わりにくいので、ここではもったいぶって(笑)番外編とさせていただきます。
派遣会社さんが投げ売りのように送ってくる大量の履歴書も含めると、本当に2000枚単位で履歴書を見てきましたけど、ほぼ100%の対象に言えることですが、皆さんの履歴書はまだまだたっくさん改善の余地があります。
プレゼン資料としてみたら、全然、未熟。未開拓。未発達エリア。プロに頼んでデザインとか作文とかしてもらってもいいくらい、人生を左右する瞬間ですよね。
キャリアとか実力とか、目には見えないものだからこそ、「どう魅せるか」が大事。それ次第で、給料の交渉も全然楽になるので、結果的には投資した分は楽に返ってくるでしょう。
採用される履歴書・職務経歴書コンサル
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ポイントは「一緒に」というところ。
作る過程で、キャリアやビジョンの棚卸しとなり、結果、面接での自信レベルも上がり、言葉に力が生まれます。
よって、採用の確率がぐ~~ンと上がるのです。
和文にしても、基本の抑えるべきポイントはまったく一緒です。
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最終的に完成するまで、和文で2週間、英文は1ヶ月、と心得てください。
※英文のグラマーチェック、スペルチェックなどは、最終的にはご自身で責任を持っていただきますこと、ご了解ください。ネイティブチェックはありません。