カリフォルニア州を6つに分ける提案が進行中。2年後の実現なるか

six californias

カリフォルニアというと、ロサンゼルスのベニスビーチ辺りでローラー・スケートしてたり、サーフィンしていたりする姿が思い浮かぶものでしょうか。それともそれは70年代のポパイに影響を受けた50代ならではの連想…?

何はともあれ、カリフォルニア州は全米で3つ目に大きな州です。1番はアラスカ。2番はテキサス。でも、人口でも経済力でもカリフォルニアがNo.1。

ちなみに、人口は3725万人。面積は4万平方キロ。東京都はというと、人口は1316万人。面積は2200平方キロ。東京の3倍の人口が、20倍の面積の中に散らばって住んでいるんですね。なんかスケールが大きくて想像もできないのですけれど、住んでいる実感値として、これはもうとても同じ州とは思えない感覚なんです。

ロサンゼルスとサンフランシスコなんて、気候も違えば、文化も違う。その手前のシリコンバレーはさらにまた他とは全然違うルールと文化とエネルギーで成り立っている。かと思うと、その合間や山側に、その何倍もの広大なエリアが広がっていたりするわけです。

そこで、ツイッターやスカイプ、テスラなどの投資家として知られるティム・ドレイパー(下の写真)という超億万長者が提案したのが、カリフォルニア州を6つに分ける構想。今月の14日までに80万人の署名を集められたなら、2016年の11月に投票にかけられるという話しでしたが、実際に80万8千通が集まったと報道がありました。

tim draper

6つの州とは、トップの写真の色分けのようにする案です。

オレゴンに隣接した最北区域はジェファーソン州(ブルーグレイの部分)、その下がノース・カリフォルニア州(パープル)、サンフランシスコやシリコンバレーが含まれるのはシリコンバレー州(イエロー)、山側一帯はセントラル・カリフォルニア州(赤)、ロサンゼルスやハリウッド、マリブやサンタモニカなど、いわゆるLA、そしていわゆるカリフォルニアなイメージはウエスト・カリフォルニア州(緑)に、そしてオレンジカウンティやサンディエゴなど、その下一帯はサウス・カリフォルニア州(オレンジ)に。

こうやって見ると、車で7時間も離れているLAとサンフランシスコって、「隣接」しているんですね…。まったく州全体ってどんだけ広いんだろう。

分けたい理由は、ひとりの州知事を皆で選んだところで3700万分の1でしかなくて、気候も人種構成も抱える問題も経済状況もまったく異なるどでかいエリアに散らばる人々のことをケアできるわけがない。もっとローカライズされた政策が必要だし、素早い対応が必須であり必然であるということなのです。

高いタックスを払いながら、実際に子どもひとり辺りの教育費は全米で47番目。超リッチと貧困層が混在し、州単位で考えている限りもう埒が明かないと。

個人としては、ほら、どんなことでも変化が大好きな性質なので、良いことのようにしか思えないわけです。ローカルを中心に見れば独自性は出しやすくなるし、固有の問題の解決に向けてスピード化が図れるはずだと考えるのが普通だと思います。

でも小さいからいいのか、というと、ポートランドで聞いてきたところによれば、あまりにも皆が民主主義過ぎて、何でも多数決だったりして、物事の決まるのが遅すぎるのだと言われていました。小さいからいいというのではなく、要はやっぱりリーダーシップなんですよね。同じ州だから規則が一緒でビジネスがやりやすい、という見方も実はあるわけです。

 いきなり6つじゃなくて、南北で2つに割る、というのもありな気がしますが、それはこの人がシリコンバレーの人で、そこを独立させることが目的なのかな? そこの州知事とかになって、好きなように動かしたいのか…。なんて穿った見方、ついついしてしまいますね。

この「6つ」ということにきちんとした必然性が見えないと、あまりにも大きな変化なので、最終的なところで賛同できない人が多くなる可能性は大いにあると思います。一般的には北部のジェファーソンとノースカリフォルニアを分ける意味とか、理解しにくいですからね。反対論って、そういう細部から起こることが多いじゃないですか。

さて、2年後、自分がまだカリフォルニアにいるとは思えないのですが、この成り行きは楽しみに見守ることにいたしましょう。