Photo: World Domination Summit 2014
再び、WDS(World Dominatino Summit)の中のヒトコマから。
受付会場で、参加者が自主的に共有したパーソナルストーリー。それをスタッフが瞬時に吟味して、優れたストーリーの持ち主10人をピックアップ。本番当日、ステージで披露する機会を提供しました。
それぞれのストーリーが切れ味鋭く、温かく、勇気づけられ、刺激を受けまくるものでした。本当にインスパイアの塊のようなプログラム。心の眼を開きまくっている人たちにとって、人生のヒントにあふれています。
この写真の男性は、ライアン・ハック氏。1977年生まれの37歳。ご覧のように生まれつき左腕がありません。でも、気づいた時からずっとそうだし、周りの環境も良かったのでしょう、取り立てて不自由もなく、それを意識することなく生きてきたんだそうです。
しかしある時、小さな女の子が「あの人、私と一緒」と嬉しそうに指さして言うのを聞いて、そうか、自分のこの生まれつきの特徴が、もしかしたら人の役に立てるのかもしれないと、初めて意識。
その後、ウエブサイトを通じて発信を始めました。片腕だけでどうやってご飯を食べるか、どうやって靴紐を結ぶか、彼にとってはとても自然に対処してきたことを共有すると、同じような身体的特徴を持った人から感謝の言葉が寄せられます。
世界中に散らばって存在している似たような立場の人たちを結びつけるインターネット。こんなところに、こんな風に、自分と同じ特徴を持ち、同じ境遇にある人たちがいる、ということを知るだけで勇気が湧いてくるものです。
彼のサイトは、「LivingOneHanded.com」。
人気コンテンツリストの中にあった「Different is awesome!」で、彼はこう語ります。
「腕のことを除けば、僕は至って普通の人間で、皆と同じ悩みを持ってて、皆と同じように人生を楽しんでいる。大多数の人と違う腕を持っていることは、ごく些細な問題だったりするんだよね。」
そもそも「普通」って何でしょうね。マジョリティという多数決なのかな。それとも平均値のこと? 社会が決めた合格点のこと?
自分のことを振りかえってみれば、僕はかつて、自分が何の特徴も個性もない普通の人間であることに悩んでいました。「つまらないヤツ」と思われることを、とても怖れていた。しかし同時にその裏では、自分の普通じゃない部分を知られることが怖くて、普通の振りをしてみせたりもしていた。
今思えば、なんという矛盾…。そしてその矛盾に心が対応できず、一時は人前で口がきけない時がありました。多分、「どの自分を出していいか」が分からなかったんですね。弱い心が創りあげた擬似・多重人格者は、スイッチを切り替えることがうまくできないと、壊れたロボットのように作動できない。とくに人が複数いると、プログラムがうまく作動しなくて、そうなってしまっていました。
彼が作って配布しているステッカーが素敵です。「違うってことはスゴイんだぜ!」って明るく語りかけています。
僕らは皆、普通だと言って悩み、普通じゃないと言って悩む。「普通」なんてどこにもないのに。
幻想に悩む必要なんてない。人のためにできることだけを考えていればいいんだよな、って改めて教えてもらいました。この学び、2日半に及んだイベントの中の、わずか1分から得られたことでした。