昨日、今日と参加していたポートランドのWorld Dominatino Summitでは、30分単位のスピーチが合計で10個くらい繰り広げられます。
このイベントの主旨から言って、テーマは必ず「インスパイアするストーリー」であることが必須。出てくる方は、有名無名いろいろなのですが、でもきちんと持ち時間内で、コンパクトにまとめられた密度濃いお話をして拍手喝采を浴びています。
さすがアメリカ人、話すことに慣れてるし、プロだなあと最初は感心していたのですが、途中から気づきました。これは主催者によって相当のコントロールがされているのだと。
コントロールと言っても悪い意味ではなく、内容について時間をかけてディスカッションし、スピーチトレーニングをし、スライドも管理をし、リハーサルも入念に行って、クオリティを参加者に担保する意味で、しっかりと監督している、という意味においてです。
自分らしくないコンテンツを話している人はいないし、それはそもそも主催者の意図することではありません。
だけど、「質」というコンテクストにおいて見てみると、統一感があるんですよね。機器の使い方、スライドの使い方、歩いて話すやり方、とか、最後の締め方とか。
このイベントで初めて大観衆の前で話すスピーカーも複数いるし、そういうガイダンスやトレーニングは必要なことなのでしょう。見ていてプロの話家に見えるし、安心感があって逆にコンテンツにフォーカスできるんですね。
監督されているがゆえの共通点はこんな感じ。
- パーソナル・ストーリーを語る
- スライドはOne wordまたは写真のみ
- マイクを持たない
- リモコンは隠しながら持つ
スライドの作り方は、ZENプレゼンテーションで提唱しているスライドと同じような感じ。ブレットポイントで箇条書きにするのではなく、ひとことキーワードを書いて、あとは「話す」。
プレゼン、というのではなく、やはりスピーチなんですよね。そのスピーチの理解を促進し、そして効果を最大限にふくらませていくためにスライドが存在する。スライドの説明、ではないのです。
マイクはミュージカルで使われる顔のカーブに沿ってはうようになった肌色のもの。コードもワイヤレス装置も見えず、裏での徹底したセットアップぶりが伺えます。髪も服もカジュアルながら、きちんとしています。
身振り手振りも、イベント通して統一されている。リモコンの持ち方、扱い方まで一緒。ふむふむ。なるほど。
人を感動させ、インスパイアさせるスピーチの仕方について、つくづく勉強になった大会でした。