ランナーとして知られていたりするせいか、良くランニングの質問を受けます。主に多いのは、下記の2つ。せっかくなので、軽くここでお答えしてみましょう。
1.「毎日、走っているんですか? どのくらい走るんですか?」
2.「いやあ、自分もやりたいんですけど、走るのは学生の頃から苦手で。どうやったら克服できますか?」
ちなみに上記の写真は、「体幹」ランニング。正しい走り方を覚えたい人へおすすめする本のひとつです。足から走ろうとしないで、軸をまっすぐにして、丹田を中心に走るんですよね。って、これだけ言っても分からないと思いますので、ぜひ本気の方はご一読を。
「毎日、走っているんですか? どのくらい走るんですか?」
走る人は毎日走るっていうイメージがあるようなのですが、走り過ぎも足や腰を痛めるので、良くないと思っています。16年も走ってきたので、あちこちやられましたけど、たいていの場合はトレーニングし過ぎによるもので、それは「休まないと解決しない」ことがほとんど。
走るのが好きだから走ってるのに、休まなければならなくなるのは本末転倒ですから、気持ちに折り合いをつけて我慢します。
今はとくにマラソンの予定がないオフシーズンでもあるので、火・木・土の週3回、6キロ~15キロ程度を、ペースを決めずに気ままに走っています。花の写真を撮ったり、メルローズ通りで店のショーウインドウを覗いたりしながらのリラックスタイム。
走るのは、朝の7時~8時半の間。1日の始まりが、とてもリフレッシュして、身体が内側からキレイになる気がして。車も少ないし、日が昇らずに暑すぎないし、日に焼けすぎないし。家に戻ったら、ストレッチマットを出して、日本のニュース番組の録画を見ながら身体に酸素を送り込んでいます。
マラソン前の3カ月くらいになったら、週4回にして、最低でも8キロ~10キロは走り、緩急をつけたり、坂道を取り入れたりしつつ、週末はロングで20キロ以上は必ず走ります。
今は、次のレースを決めてなくて、まあのんびりと走力が落ち過ぎない程度にのんびり走ることとつきあっている日々です。ちなみに、月水金は、スイムレッスンの日で、カルバーシティのプールで朝7時から1時間、みっちり鍛えられています。日曜はおうちヨガでリラックス&ストレッチをたっぷりと。
本気でやりたいと思えば、誰でもできます
自分でもできたらなあ、と口にする人は多いのですが、本気でマラソンまでたどり着く人はそれほどいません。それは難しいからではなくて、単純にやる気がそれほどないからです。
あるいは、「自分にやれることだと信じていない」から。自分を信じていない人は、やろうとすらしないので、できるようにはなりません。何事にもつながることですね。
また、一度、挑戦してみても、辛かった経験だけが記憶に残ってしまい、そこで「向いてない」と終わる人も大勢います。いやあ、もったいない。2度目、3度目と、マラソンは繰り返すことで急速に楽になっていくし、タイムも劇的に上がるし、そうするとグングン楽しくなっていくんですけどね。
僕は1998年に出た最初のホノルルマラソンが5時間40分。激しい疲労感はあったものの、終わってみれば意外にも「あ、できちゃった」という拍子抜けする気持ちだけが残り、そして「よし、来年はもっと練習して、もっと上を目指そう」とゴールの瞬間に思っていました。
続けている人は、皆、そう言います。途中の辛いことは、ゴールした瞬間に消えてしまうのです。そして2度、3度とやっていく内に、はまるんですね。そこまで行けば、自分の中にも周りにもドライブかけてくれる要因が生まれてきます。
僕は翌年の大会は4時間40分、その翌年は4時間20分。そして3時間59分と徐々に楽で、楽しく、速くなっていきました。
ロサンゼルスに来てからは、涼しい中での大会なので、3時間48分、38分、31分と、どんどん記録も上がっています。涼しい中での練習は、質も量もグンと上がりますので、結果に直結しますね。
何はなくても、細く長く続けることです。それが、ちゃんと喜びに変わります。
走る人になりたいと願う人へ。7つの簡単ステップ
本当にやりたいと願う人は、ぜひこんな感じで徐々に徐々に「習慣作り」をしていことを意識してみてください。今は、走るという習慣はもちろん、朝や夕方に「外に出る」「ウエアに着替える」「柔軟体操をする」「運動をする」という習慣がないわけなので、最初はハードルが高いです。
走りが続かないんじゃなくて、走る時間を作る、というところがうまく続かないで挫折する人が山のようにいます。だから、最初は無理せず、新しい習慣が身につくまで3週間、楽しい未来にワクワクしながら、続けてみてください。生活改善は、必須事項です。
そして、最初の内は、あちこち絶対に痛くなります。皆、そうなんです。走り方も知らないし、身体もできてないし。だから、痛みとは友達になるくらいに、いつもあって当たり前状態で考えると良いでしょう。
筋肉痛はあって当たり前。体が温まると、筋肉痛は消えるので、無視して習慣を崩さずに走り続けましょう。
膝などの痛みは、ひどい時には病院という手段もあるのでしょうが、たいていの場合は軽い炎症なので、冷やして、温めて、ストレッチしている内に治っています。骨や間接のことと心配し過ぎなくても大丈夫なケースがほとんどです。慣れない内は大げさに考えがちですが、骨なんて、そう簡単に傷つかないし、折れたりしないので大丈夫です。
少なくとも僕はランニングで一度も医者のお世話になったことがありません。痛みがひどいときは、走るのを止める。それだけ。
長い時には1ヶ月半くらい走らなかったこともありますが、それでちゃんと元通りになりました。でも、自慢ではないですけど、たくさん痛い思いはしています(笑)。グッズに頼ってみたり、塗ったり、スプレーしたり、アイシングしたり、温冷浴したり、走りたいのに走れない時は藁をもすがる思いで手当たり次第試すんですが、これといって特効薬に出会ったことはありません。最終的には時間と自然治癒力におまかせする他ないんだなと悟っています。
上手なマッサージは、全身に溜まった乳酸を取り除いて、スーッと筋肉を楽にしてくれます。大会前後には、いつも通っていました。疲労回復には効きますね。
はい、では7つの簡単ステップの紹介です。
1.そもそもなぜ走りたいのか、目的を明確な言葉にする
僕の場合は、楽しそうな皆の仲間に入りたかった。自分にもできることだと皆が言うから、じゃあやろうと思えました。マラソンを走ったことがある人というカテゴリに属したかったんですね。村上春樹さんに憧れて、そしていくつかのスポーツ大会をPR会社の立場でサポートして、いいなあ、自分もあっち側に回らなきゃって思ったのがきっかけです。
2.当面のゴールを決める
これは「レースに出る」のが一番です。それに勝るゴールはありえない。最初は10キロのレースがオススメです。1時間から1時間半くらいでゆっくり走る10キロのランニングレース。それを2カ月くらい先に置きながらランニング生活をスタートできたら、もう楽勝じゃないでしょうか。
その後も、大会へどんどんエントリーしちゃうんですね。月に一度くらいできるといいですね。モチベーションが続きます。お金払ってしまうと、もうやらない選択がなくなる。そうやって自分にプレッシャーかけないと、なかなか本気は続きません。最初は痛いし、苦しいので。
フルマラソンは半年後くらいのところで出場できたら良い感じかなあ。僕の場合は2カ月で出ちゃいましたが、どれくらい練習量が取れるかにもよるので、一概に言えません。3~4カ月目にハーフマラソンに出られると思います。ハーフは大丈夫なんです。皆、楽勝でできます。ハーフとフルは、まったく別物だと覚えておいてください。距離が2倍ではなくて、3倍くらいになるような感覚で考えておくと良いと思います。その後の楽しいランニング生活のために、準備は念入りに。
以下は、走り始めてからのことなので、一気に行きます。
3.近所の周りを30分、散歩する
4.近所の周りを5分走って、20~30分歩いて、さらに5分走ってみる。
5.徐々に走る分数を増やし、歩く分数と逆転させる。
6.週末に1時間走ってみる
7.週末に2時間走ってみる
2時間ゆっくり走れたら、もう後は大丈夫。フルマラソンへの道ももうすぐです。自分がこんなに遠くまで足だけで到達できるのかと思うほど、移動してますよね。軽く旅している気分になります。車でも自転車でもないのに、こんなに遠くまで来ちゃったって感覚。
5番ができたら、もう6番は目と鼻の先です。要は「ゆっくり走る」ことを覚えるってことです。頭の中にある「走る」という記憶を消し去って、散歩の延長で考えてください。トコトコ、トコトコ、歩いている人に抜かれるくらいのスローペースから始めると良いです。長距離は、ゆっくり長く走ることなんです。続かないのは、ペースが速い。ただそれだけです。
身体をリラックスさせないと、ゆっくりは走れません。肩の力を抜き、姿勢を正して背筋と首を伸ばし、腰を高くキープして走る。姿勢が悪いと怪我をします。力が入っていると、変なところを怪我します(腿の付け根とか骨盤とか)。痛いところを見つけながら、姿勢を正していくと良いでしょう。
途中で続かなくなる、ということは、「ペースが早い」か「持久力がない」か、その組み合わせです。でも、不思議な事に、二度目、三度目は、どんどん楽になります。身体は、一度やったことは、ちゃんと覚えているようです。逆に言うと、初めてのことには、ビックリして、色んな形で「抵抗」を示してきます。その疑似抵抗にごまかされないことですね。
あと、番外編では、「ウエアとシューズを買っちゃう」ですね。初心者ほど、ちゃんとした良い物を揃えましょう。怪我の可能性を軽減してくれますから。お金使っちゃうと、元取らなきゃって思って、続きますよね(笑)。くれぐれも綿のTシャツとかじゃなくて、汗を吸って乾かしてくれる通気性の良い、専門のウエアを着ましょう。帽子も被って熱中症対策。
初心者は、身体の内部の熱を逃がすことが上手にできません。また、身体の隅々に水分を貯めておくこともできません。だから、水分補給と通気性の良い服で涼しい時間帯に走ること。このふたつは重要です。
では、頑張って!