いつかやろう、の「いつか」は永遠にやって来ないという残念な真実

誰しも一年のはじめに、いろんな目標を立てたりするものですが、まずは書きものにすることで実現する確率はだいぶあがると言われています。タイプするより手書きがいいとか、それを公表してしまうともっと良いとか、いろいろな説がありますが、何よりもやはり目標に「日付」が入っているかどうかが大事です。

目標設定の極意は、よく「SMART(スマート)」という言葉で表されます。いくつかのバージョンがあるのですが、ここではアメリカで一般的に使われている表記を使って説明します。

S= Specific (具体的であること)

M= Measurable(達成したことが測定可能であること)

A= Attainable (実現可能であること)

R= Relevant (あなたの夢や理想と同期しているか。社会の倫理/規範に則っているか)

T= Time-bound (時間設定、期限があるか)

(Aを、Achievableとするものもありますが、まったく同じ意味です。あるいは、Assignableというのも見かけます。誰か担当者をつけて責任持たせて実行できるのかということのようです。

Rもいろいろあって、Realistic(現実的か)というのが意外に多いのですが、それだとAttainable(実行可能か)とほぼ同じ意味合いになってしまうので、自分やプロジェクトのミッション、オブジェクティブに沿ったものなのかというRelevant (適切か)の方を採用しています。ライフプランの中の、どの位置にその目標が属するのかということは、自分がブレないためにも、常に軌道修正していくべきですからね。)

S= Specific (具体的であること)

自分だけでやることにしろ、チームで行うことにしろ、言葉で定義して、できるだけ具体的に共有しておかないと、個々にイメージしていることがバラバラだったりして、結局、達成しない目標になってしまいます。

できる限り、狭く定義した方が的が絞りやすいはずですし、分かりやすい言葉になっていなければなりません。

成功者になりたい、ではなくて、家はどこに住む、財産はどんなものを持つのかなど、具体的にしなくては行動プランに落としこんではいけません。

売り上げをあげたい、だけではなくて、どの商品の、どのエリアの売り上げを上げたいのかを定義するということです。

M= Measurable(達成したことが測定可能であること)

目標には、測定可能なターゲット設定をすることが大切であると言われます。それは「数字」「数値目標」というです。

この部分がないままに目標設定することが多いのですが、それだと達成したのか、してないのか、とても感覚的でぼんやりしてしまいます。チームで取り組む場合など、とくに問題です。

お金持ちになる、ではなく、年収いくらを稼ぐ、という風に「数字」に落としこんでおけば、それは後で振り返った時に、達成したか、していないかのどちらかになりますね。測定可能とはそういうこと。

売り上げを上げたい、ではなく、いくらあげたいのか。何%アップなのか、何円アップなのかを決めるということです。

それが、Key Performance Index(KPI)という指標として、行動指針に紐付いていくわけですね。

A= Attainable (実現可能であること)

スタートアップしたばかりで、まだサービスもなく、人もなく、お客様もいない段階で、年商1億円を稼ぎます!と豪語したところで、威勢が良いのはいいのですが、根拠がまったくなく非現実的。それでは夢や願望であって、決して目標にはなりえません。

もちろん挑戦するのは悪いことではありませんが、そのままでは何に向けて日々の行動を起こせばいいのか、具体的なアクション・プランに落としこんでいくことが不可能でしょう。当てずっぽうに毎日を暮らしていても、目標(夢)には近づけません。

ですから、そこは夢を分解していって、年商1億円を達成するために必要なファクターにフォーカスをすると良いと思います。例えば、潜在顧客リストを100名にする、とか、商品説明セミナーに200名の潜在顧客を集める、とか、結果に結びつく目の前の何かを目標にすることで、地に足のついた行動プランになっていくでしょう。

R= Relevant (あなたの夢や理想と同期しているか。社会の倫理/規範に則っているか)

お金持ちになることって、あなたにとっていったいどんな意味があるんでしたっけ?ということが、きちんとわかった上で目標として落としこんでいくと良いでしょう。というのも、それは「モチベーション」と密接に関わっていくことだからです。

社会の倫理や、規範に沿わないことを目標に設定するのも、あなたや事業の存在意義を根底から否定することになりますので、意味がありませんね。

だからこそ、ライフプランで大きな絵柄をまずは描いて、そこからブレイクダウンして、今年の目標、今月の目標、今週の目標、というように落としこんでいくことが大事なのです。

目先の利益だけ見ていると、どうしてもぶれてしまいがちです。企業の不祥事が後を絶たないのも、長い目で企業の寿命を考えて、社会の進歩、発展に貢献しようというミッションやビジョンと結びつけていないからだと言えるでしょう。倫理的であるということは、人においても企業においても、ひじょうに重要なことなのです。

T= Time-bound (時間設定、期限があるか)

そして、目標にはちゃんと期限をつけなくてはなりません。いつかやろう、という「いつか」は、永遠にやってきません。時間ができたらやろう、と思っていることは、決して実現しないものです。

今日やろう、明日やろう、来週のいつやろう。

そうやって、予定表に入れ込まない限り、思いはどんどん空回り。優先事項が後から後から出てきて、大事なはずの目標が、どんどん後回しになってしまいます。重要なことと緊急なことを分けて考える時間管理のマトリックスも、ここでは重要な考え方ですね。

目標設定は、SMARTという頭文字に表される5つのファクターに気をつけてみると、実現の可能性がぐんと高まります。そして、何より大事なのは、「で、今日はなにをやるんだっけ」を明確にし、それを確実に進めることです。それが、夢に向けての第一歩。夢だけ掲げて足を動かさないのならば、それは叶わなくてもしょうがないと諦めたも同じこと。あなたの真剣度がそこで試されているのだと思います。