昨日、友人がフェイスブックでこんなメッセージを上げていました。
電子書籍ってよくわからない。
KINDLEとIpadはどっちがどう違うんでしょうか?!
どっちがおすすめでしょう??!
この分野に関しては、とくにお節介な僕は、ついついいっぱい書き並べてしまいましたが、そうだな、そういう情報をきちんと整理して持っていない人も多いのだから、まとめておこうかな、と思いました。「海外在住の日本人」という視点からですので、日本の方はまた違う観点があると思いますから、参考までにとどめておいてくださいね。国内だったら、本は朝頼めば夜には届いてたりするので、電子書籍の必然性が薄いのも分かります。「駅」周辺には必ず本屋さんがあって、手にとって見ることもできる。今回はそんなことが許されない海外在住者のための話です。
また、Kindleと表記する時、それはHDではなくて本を読むことに特化したPaper Whiteを前提に論じています。
そもそもは別物で比較できない
iPadは多機能で、電話できないスマホの巨大版です。あるいは小さなPC(マック)とも言えるもの。電子書籍リーダー「としても使える」だけであって、それがメインなわけではない。
それに対してKindleは、逆に電子書籍としてしか使えない。あなたが本をたくさん読む人で、専用リーダーがほしいのか、たまにしか読まないけど、あるといいな、と思っている程度なのかで、選択はわかれますね。後者ならば、迷わずiPadでよろしいかと思います。
デバイスの値段が違いすぎ
最近、iPadも安くなりました。miniなんか$299からありますからね。でもまあ、予算さえあれば(って、長く使うものなので、ここは月割で考えて、ケチらない方が賢明です。200ドルの違いは、20カ月使うなら、月にわずか10ドル。スタバ行くのを3回我慢すれば済むことです)僕は断然「Air」をおすすめします。
軽くて薄くて、でも画面は広い。Miniが出た時、すかさず買ってドキドキ使ってたのですが、だんだんと視力が厳しくなるお年頃だったりすると、これって中途半端だってことに気づいたのです。Airが出た時に、真っ先に買い替えてしまいました。Miniも、超美しいRetinaディスプレイにしようと思うと$399。iPad Airが$499だから、その差はわずか$100です。
さて一方のKindleは、アメリカで買うと、広告が入るバージョンとないバージョンの2つがあります。それぞれ$119と$139。さっきの考え方でいけば、たった$20をケチってもしょうがないじゃないか、と思います。20カ月使うなら、月々1ドル。別に何も我慢することなく楽に払える額ですよね。気持ちだけの問題。
中古もありますし、Paper White以前のもあって、それなんか$69だったりします。それでも全然OKです。でも新しいと、ページ送りが早かったり、WiFi接続が早かったりして、快適さはありますよね。PaperWhiteは、目が疲れないのにちゃんと明るく読めて嬉しい限り。でも旧機種の方が、「インクの盛り」みたいなものが感じられて、ドキドキするほど紙の印刷に近い感覚を実現してくれていました。英語版は今も僕はキーボードの付いた旧機種で読んでいます。
本を読むだけなら、圧倒的にKindle
iPadにKindleアプリを入れてしまえば、できることは一緒です。が、一度PaperWhiteとか持ってしまうと、その軽さは魅力です。昔はやりにくかった文字をハイライトしたりすることなんかも、今はかなり楽にできるようになっています。ちょっとセンシティブ過ぎて、触れる度にページがあちゃこちゃ行っちゃうのはどうなんだろうと思いますが、でも最も本を読む感覚に近くて、小さなハンドバッグにも入れられて、そしてバッテリーがずーっと持つことも利点。読書家ならば、間違いなくKindle買って良いと思います。
さらに言えば、裏ワザがありまして、日本のアマゾンで売ってるKindle Paperwhiteは、今の為替で言えば、アメリカ版より安いです。10,280円です。僕は去年の12月。日本からの出張者に頼んで持ってきてもらっちゃいました。彼女の家に送りつけ、箱は捨てていいから中身だけ持ってきてって言って。本を頼むよりも軽くてはるかに頼みやすいです(笑)。日米共に、モノはまったく一緒です。起動したら言語を選ぶようになっているので、アメリカで買ってもすぐに日本語対応になります。
「電子書籍」にもいろいろある
もちろん、まだまだなんです、日本の電子書籍のセレクションは。アメリカははるか以前から一斉にKindle化が進んでいて、新刊でKindleで買えないものなど存在しません。(全部チェックしてないけど、メジャーなのに買えないなんて、見たことないです。ないとしたら90年代以前の古くてマイナーな本。)でも残念ながら、日本はまだまだ電子書籍後進国。
そしてアメリカ版はKindleだと半額以下で買える定価設定だったりすることもありますが、日本版はまだそこまで来てない。いや、来てなかった。が、最近、結構スゴイんですよね、セール合戦が。
合戦というからには闘う相手がいるわけで、今はKoboとの一騎打ち。もともとはカナダの会社でボーダーズと組んでいたりしたわけですが、今は楽天の子会社。ポイントをバンバン与えたり、安売りしたりで、とにかくユーザーを煽っています。Koboでしか買えないセレクションもあります。
で、もちろんのこと、KindleではKoboで買った書籍は読めません(技はあるので、不可能ではありませんが)。が、iPadはKoboのアプリを入れればいいだけなので、何でも読めてしまいます。今の日本の事情だと、KindleにないけどKoboにある、この本がほしいのよね、とか、Koboだとこんなに安く買えちゃうのよ、とか絶対にあるので、そういう意味では、両方読めるiPadがやッぱり便利ですね。
さらに言うと、「自炊」本を読むにも、iPadです。紙の本を断裁して、自ら両面スキャンしてPDF化することを「自炊」と呼ぶわけですが、そのPDFをあたかも本のように読むアプリがiPadにはあります。私はi文庫HDを使っております。有料だけど秀逸です。Kindleでは字が小さくなったり荒かったりして難しいです。
その他の決め手
そもそも月に何冊くらい本を読みますか? 数冊っていうことならば、他にも多岐に渡って利用価値のあるiPadが絶対に良いのではないでしょうか。iPadの必然性が分からないと言う発言が日本のブロガーさんからも聞かれたりするのですが、iPhoneだと画面が小さ過ぎて辛いお年頃には、iPadは超便利です。いちいち机に座ってパソコンに向かわなくても、ソファでベッドで、さくさく似たようなことができますしね。
メールやSNSをする小さなパソコンとして、ニュースやブログを読むリーダーとして、YouTubeなどを見るビューアーとして、音楽を聞くミュージックボックスとして、僕はとにかく利用しまくりです。
でも本もたくさん読むので、Kindleは本当に買ってよかったと思っています。明るい外でも画面が反射しないし、触った感じがとても気持ち良いんですよ。愛らしいデバイスです。何より、メールとかSNSとかが入ってこないので、本を読むことに集中できるんです。それって、ちゃんと考えた方がいいメリットだったりします。
海外在住者で英語本も読む人へ
アメリカ(あるいは海外現地)のアマゾンと日本のアマゾン、両方に別々にアカウントを持っている海外在住の方は、いちいちアカウントを切り替えながらKindleへアクセスするのは現実的ではありません。切り替える際に、ダウンロードしたリストも本のデータもすべてがゼロに消されてしまうから。行ったり来たりは容易じゃないのです。そこは、iTunesとちょっと違うところ。(あちらはあちらで問題ありますが。)
アカウントの統合とかできるようでもありますが、そんなことしなくても、一番楽なのはデバイスを分けることです。iPadは英語専用。PaperWhiteは日本語専用とか。そうすればアカウントを切り替えることなく両方の在庫を好きに読むことが可能です。
僕の場合は古いKindleを持っているので、それを英語専用にしています。日本語は写真や図を多用する本もあって、それは大きなカラー画面のiPadで見た方がいい。だから、PaperWhiteとiPad、両方共日本語専用にしているというわけです。
※余談ですが、半年前くらいに出席したアメリカの出版社が主催する出版セミナーで言ってたこと。「アメリカでは電子書籍の割合がどんどん増えているが、ビジネス書や実用書などのノンフィクションは、まだ5割程度。そこで伸びが止まっている。書き込んだり参考書として使う場合が多いので、紙で持っていたいのだろう。」逆に言うと、小説はもっともっと電子書籍の比率が高いということですね。何割って言ってたか忘れちゃいましたが。あまり読み返すことがないのと、数読む人が多いので、場所に困るし、みたいなことをおっしゃっていました。
最後に電子書籍をおすすめするブログ
毎日たくさんの本をおすすめしてくれるし、キャンペーン情報をもれなく教えてくれるので、ついつい買いまくってしまうのですが、リソースとして便利に利用させていただいているブログが「きんどるどうでしょう」。そして友人が運営しているKobo専用のおすすめサイト「Koboでいいのだ」も優秀です。
Kindleの中で「積ん読」状態になっていたりして、新刊なんか買ってる場合じゃなくても、今日も僕はこれらのサイトを眺めながら、期間限定キャンペーンと言われると、ほいほいクリックしちゃうのです。
小さな頃から、母が本だけはねだればいつでも買ってくれました。本好きな僕を、喜んでくれました。僕の中では、本は母の愛情そのものだったりするのかもしれません。なんてね。
※ちなみに文中でiPadとなっているところは、アンドロイド系タブレットでももちろんOKです。Kindleアプリを入れれば同じことです。こんな記事がありましたので、ご参考までに。
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