5歳の女の子を男の子として育てる決意をした両親。当然のことながら賛否両論のアメリカですが

LGBTプライド月間だから、ということで取り上げられたのかどうか分かりませんが、Daily Newsで紹介されたストーリーは、在米日本人向けの日本語ニュース番組(FCI)でもフィーチャーされました。それが上のビデオです。

小さな頃から(まだ小さいのですが)、女の子の服を嫌がったり、自分は男の子であると主張したり、これはただのおてんば娘なわけではないと察した両親。専門家たちと相談しつつ自らもリサーチを重ね、性同一障害であると判断。男の子として育てる決意をしたそうです。

これに対しては、もちろん常に意見を真っ二つに分けてしまうトピックスだけあって、保守派は真っ向から否定。サポート派は勇気に敬意を表するなど、反応は様々な様子。

自ら「自分はトランスジェンダーである」と自己紹介したりするライランド君。彼のストーリーを収めたビデオをYouTubeにアップしたところ、アクセスが殺到しました。(現時点で570万ビュー)

保守派は「こんな小さな子に、性の問題が分かるわけがない。ただ混乱しているだけ」という論調で両親を非難します。それがもともとの「主義」から来る理論だとしても、まあ納得できない主張ではありません。普通はそう考えますよね、多分。実際、ライランド君の友人ファミリーにもアナウンスをしたところ、離れていった人たちもいるそうです。ほとんどの人は理解をしめし、勇気に拍手を送ってくれたというので、時代の変化にホッとしますが。

性同一障害の人は、40%が自殺を図ると言われているそうです。全国平均は4.6%。社会が自分を受け入れてはくれないと、違う自分を演じ続けなくてはいけないことに絶望しての自殺なんですね。ありのままの自分では存在価値がないと思い込んでの死の選択。

それを一番怖れ、ありのままの子どもの姿を受け入れようとした両親が制作し、アップしたライランド君のストーリーです。

5歳の子にそんなことが分かるのか、という問いに、僕ならどう答えるだろうかと考えました。主張するかしないかは別として、居心地の悪さということはきっと「分かる」と僕は思います。性、という意識のない子どもなのに、と思うかもしれませんが、それは肉体の年齢であって、「魂」の年齢は違いますよね。

僕だって、自分がどこか人と違うことは、かなり小さい時から魂レベルで知っていました。そして葛藤することもなく、それを自然なこととして受け入れていた。だけど、それは「言ってはいけないこと」「知られてはいけないこと」であることも分かっていた。誰から教えられたわけでもないのに、どう振る舞わなくてはいけないのかを子どもだけど知っていた。そのスキルが幼い頃は不十分だから、時に混乱することもあったし、人の顔色をうかがう癖も身につけてしまったけれど、自分を疑うことは一度もなかった。それは頭で知ってたからじゃないと思っています。

ライランド君の場合は、別に手術をしたわけでもホルモン剤を飲ませているわけでもないし、大人になるのをじっと見守り、彼がしたいようにするのにまかせれば良いことですよね。両親の無条件の愛に感謝、感動です。