ミスチルを聴きながら走ったアラワイ運河
僕がハワイに移住する直前にブレイクしたMr.Children。当時はカラオケ大好きな時代だったので、難しいのによく歌っていました。(今も好きですが、行かなくなった、というだけです。車の中で歌いまくっています・笑。)
移住後も、日本帰国の度にTSUTAYAへ行ってはCDを大量に借りまくっていました。和洋新旧、音楽については幅は広い方かなと思います。最近、洋楽は最新を追いかけて聴いていますが、さすがに和の方は決まったアーティストだけになりましたね。
アイポッドミニが普及し始めてからは、ジョギング中に音楽が聴きやすくなりました。毎朝、ワイキキの山側にあるアラワイ運河沿いを走る時、今日は誰の歌を聴こうかと選ぶのが楽しみでした。
ズシンと響いた、この歌のフレーズ
仕事の上でいろいろと消化されない思いが常時あった頃でも、朝のランニングがはけ口となり、あまり溜め過ぎないで済んでいました。同時に、歌に癒やされたのもあったと思います。
なんとなくモヤモヤっと自分の暮らしについて考えながら走っていたある朝、ランダムに設定していたプレイリストから、Mr.Childrenの「Any」という曲がかかりました。
そして、サビのこの歌詞がズシンと胸に飛び込んできたのです。
♫ 今、僕のいる場所が、探していたのと違っても
間違いじゃない。きっと答えはひとつじゃない。♫ 今、僕のいる場所が、望んだものと違っても
悪くはない。きっと答えはひとつじゃない。
「きっと答えはひとつじゃない。」
この言葉は、その後も何度も繰り返し、自分の胸に蘇ってきました。
正解なんて、どこにもない
僕らは皆、世間や親や先生や上司が示す「正解」を求めて生きているようです。学校のテストでも、正解は常にひとつであり、社会の模範とされる生き方も、幅のないパターン化されたものばかり。
アメリカに来たら、人それぞれ生き方にもバラエティがあって、色彩豊かなことに刺激されまくり。同時に、選択がある分、迷いも生まれます。それまで正解だと思っていたことが、ずいぶんとズレているかもしれないとも思うようになりました。そんなフラフラっとした心の状態で聞いた言葉は、なかなかに衝撃的でした。
そうだよね、きっと答えはひとつじゃない。こんな小さな島の、小さなコミュニティの中での暮らしにも、たくさんの学びがあるし、豊かな愉しみにあふれている。間違いじゃない。悪くはない。今いる場所、今あるもの。それらを当たり前と思わずに感謝することができれば、すべては「有り難い」価値あるものとなっていくはず…。
今を受け入れると世界の見え方が変わる
毎朝、東の山の端から登る朝日を正面に見据えて走りながら、僕は今を受け入れることを学んでいました。
下ばかり向いて走っていた自分が、ふと目線を前に向けると、道路沿いに咲くプルメリアの花に気づき、公園に茂る濃淡の緑のグラデーションが目に写り、朝日を反射してキラキラと輝く水面が眩しくて、思わず目を細めていました。振り向けば、マノアの山にはきれいな虹がかかっていました。そして、自分が今まさにパラダイスにいることを知るのです。ああ、この世界はなんて豊かなんだろう、と。たどり着きたかった場所に、自分はちゃんと着いていた。
不思議なことに、その瞬間、「自分はもうこの場所を出ても大丈夫だ」と思えるようになっていったのです。
この曲、「Any」は2002年の発表。アイポッドミニは2004年の発売のようですが、僕がこんな心境になれたのは、実はもっとずっと後。ライフコーチ体験をひと通り終え、稲盛和夫さん主宰の経営塾「盛和塾」に参加させていただくようになった2009年以降のことだと思います。