おとなの教養を身につけたいなら、これこそが必読の一冊

皆さんは、「あなたは教養がない人ね」と言われたことはありますか?

私はあります(笑)。

いや、笑い事じゃなく、その時は泣きそうになりましたが、10年ほど前、ちょっとしたブログの記事で、気遣いの足らない表現をしてしまったところ、

「あなたのような教養のない方が、メディアの編集長だなんて!!」

と、ヒステリックな調子のお叱りメールをいただき、一瞬、かなり凹みました。

それ以来、なんとなく「教養」って何なんだろう? それはどうやったら身につくのだろう?と漠然と残っていたんですね。

その後、エグゼクティブコーチについて、「しあわせ感」や「豊かさマインド」を手に入れるためには、いくつかの要素のバランスを取っていくことが大事だと教わりました。

お金や仕事、家族、人間関係、コミュニティとの関わり、貢献、趣味などと並ぶファクターの中に、Personal Growth=人としての成長、というような言葉があり、生涯教育とか、教養磨きとか、そういう意味合いだと知りました。

なるほど、教養か。

マナーとかおもてなしとか、基本、アレルギーかと思われるほど苦手分野だったりするのですが(だから、アメリカが居心地いいのか…?苦笑)、教養なき人、と言われるのは、ちょっと残念。

今、実際にクライアントに尋ねてみても、やはり「教養」レベルを高い、と答える方はひとりもいません。

でも、聞いてみると、やはりそこにコンプレックスがあったり、なんらか向上できる機会があるなら、注力してみたい、とも考えている様子。

もっと教養を積みたい、磨きたいと願う人が、年齢が上がるほど増えていく気がします。

なんとなく、置き去りにしてきた忘れ物がある、みたいな、そんな感覚。

私もわかります。

なんとなく、自分がもっと自信が持てたり、世の中に参画している感が持てたり、要は「賢く」なれるような気がする。

そんなニュアンスも感じます。

さて、では教養とは、ではいったいどんな定義なのでしょう?

Wikipediaによると、こう定義されています。

教養(きょうよう)とは個人の人格や学習に結びついた知識や行いのこと。これに関連した学問や芸術、および精神修養などの教育、文化的諸活動を含める場合もある。(Wikipediaより)

とかく、物知りのことを、教養がある、と言いそうな気もしますが、ちゃんと人格に結びついてこそだし、精神修養のためでもあるのですね。

すごく、納得感がある定義に思えます。

でも、それって、どうやったら身につくのでしょう?

そんな時は、池上彰さんです(笑)。

数年前に、思い立って、「今年は教養を身につける年にする!」と、池上さんの本を数冊、手に取りました。

例えば、こんな感じのものです。

アメリカに住んでいると、とかく「宗教」は身近な問題となります。

クリスマスに「メリークリスマス」を言うのが、宗教上の差別?などと言われたりすると、??となるのですが、背景を学んでみれば、ああ、なるほどです。

世界がなぜ揉めているのか、その背景に、どれほど宗教問題が隠れているのかもわかると、読み解きも楽になってきます。

本のタイトル通り「そうだったのか!」と、社会の謎解きをしていただいたような、爽快な読後感があったりもして、いやいや教養って、なんだかおもしろいぞ!と実感したのです。

しばらく忘れていたのですが、先般、池上彰さんならではの、「おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか?」という、今、私やクライアントがまさに読むべき一冊を発見し、がっぷりと読み込んでみました。

あーなるほど、こういうことを大人としては知っておくべきなんだな、と改めて納得です。

この序章で言われている言葉がとても印象的です。

すぐに約立つ知識は、すぐに使えなくなる。

いわゆる「ノウハウ系」のトレンド情報的なものは、すぐにObsolete(使い物にならない)と化していきます。

マーケティングでも、Facebookがいいとか、Twitterがいいとか、やれLine@が効果的だとか、手法にばかり目がいくこともありますが、本質はそんなことではありませんよね。

ツールが変われど、変わらない真理がある。それこそが、大事なはず。

本物の知識とは、「すぐに役立たないかもしれないけど、ずっと使えるもの」だと、ここでは定義されていて新鮮でした。

そして、さらに、現代の教養とは「自分を知ること」だとも言われています。

そのために学ぶ必須項目は、以下の7つ。

  1. 「宗教」
  2. 「宇宙」
  3. 「人類の旅路」
  4. 「人間と病気」
  5. 「経済学」
  6. 「歴史」
  7. 「日本と日本人」

この7つを貫くのは、「自分がどういう存在なのか」を考えようとする問題意識だ。(本書より)

私は大学が文学部で、一年目は、一般教養(今はパンキョーとか言うらしいですね)として、心理学や社会学、東洋哲学、西洋哲学とかを広く学ばねばなりませんでした。

行かなくてもいい授業ばかり取るのが「賢い」時代でしたが(苦笑)、でも、たまに出てみた授業で語られていることは、実は自分がものすごく興味があることだと発見したのです。

文学を専攻しようと選んだ学部だったのに、2年目で選んだ専攻が、心理学/社会学。

卒論は精神衛生をテーマに、デイケアセンターでボランティア体験をさせていただいて、まとめたりもしました。

世の中に直接使える、ノウハウ的な教育でないと、企業から歓迎されずに、一般教養とか、そもそも文学部とかが人気がない時代のようですが、実はここで学ぶことが、長い人生の中では生き残る知識であり、自分の核を形成する上で、重要なのだと、今頃、教えていただくわけです(苦笑)。

あの頃、それを知っていたら、もっとちゃんと学んだのに…(涙)。

でも、長い人生。

いつから始めても、遅いなんてことはありません。

まさに知的好奇心がビンビンとゲージいっぱいに振れまくる、「おもしろい」本。

これを、おもしろい、と思える自分に成長できて、良かった~とホッとします。

[目次]
序 章 私たちはどこから来て、どこへ行くのか?――現代の教養七科目
第一章  宗教――唯一絶対の神はどこから生まれたのか?
第二章  宇宙――ヒッグス粒子が解き明かす私たちの起源
第三章  人類の旅路――私たちは突然変異から生まれた
第四章  人間と病気――世界を震撼させたウイルスの正体
第五章  経済学――歴史を変えた四つの理論とは?
第六章  歴史――過去はたえず書き換えられる
第七章  日本と日本人――いつ、どのようにして生まれたのか?

池上さんの著書は、上辺だけではなく、「ふり」ではなく、本当の意味で「賢くなりたい」人に、絶対オススメです。

まずは入門編として、というには骨太なところもありますが、でも最大限にわかりやすくまとまっているので、こちらをオススメしたいと思います。