アメリカはゲイのメッカで皆が受け入れて、くらいに思われているところもあるけれど、そんなわけでもない。こんなインタビューを見ても、そうだね、まだまだだね、と思う。
街角で、突撃インタビュー風にレポーターがマイクを持って尋ねる。「ゲイであることは選択だと思いますか?」
実際のところ、ストレートの人たちがどう思っているのか。その本音は気になるところではある。
そして彼らは意外にも深く考えこんだり、嫌ったりせず、直感的に「イエス」や「ノー」を答えている。アメリカというところは、質問の文化で、子供の頃から質問することが良いことと教わって育つ。そして質問されたら、即座に何らか自分の意見を自分の言葉で答えなさい、という教育もされている。だから皆、反射的に答えている印象があって面白い。
「はい、選択だと思うよ」と例えば答える。するとインタビュアーが切り返す。
「あなたはいつストレートであることを選択しましたか?」
皆のリアクションが実は面白くてハッとする。
「うーん、そうだね、良いポイントだわ。あなたの言うことも一理ある。」
何のてらいもなしに、結構な人がそう答えている。これってアメリカ人の良い所かな、と思う。議論を交わすのも好きだけれど、相手の議論が優っているとわかると、ちゃんと認めてすぐに謝ったりする。要するに「フェア」であろうとするのだ。
このビデオで面白いのは、結構な割合で、やっぱり「選択したもの」と思い込んでいるのが分かることと、でもそれはたいした根拠があるわけではなくて、ちょっと突っ込んであげると、素に返って「あれ、そういえばそうだね」となる程度の、浅い刷り込みなのが見えること。
往々にして男性より女性の方がセクシャリティにはリベラルで柔軟だと思われがちだけれど、少なくともこのビデオの中ではそうとも言い切れないこと。
でも全体に皆、カラッと答えていて、そこに怒りも恥も戸惑いも、たいした感情すらも持ってなさそうなこと。だから、未来はもっと変わっていくし、明るそうな予感が持てること。
など、いろんなことが見て取れる。面白かったです。