不登校、10歳男子の劇的コーチング体験

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私には子どもはおりませんが、最近は友人のお子さんたちと触れ合う機会もいただくようになりました。

娘や息子、あるいは孫?というような年齢の彼らと、「親なし」で会うのって、考えてみれば、何だか不思議な感覚です。

ただそれも、彼らがすでに大人だったり、大人に近い年齢だったりするからありえることなのでしょうし、私を友人として、人間として信頼していただいているからこそなんだろうなあと理解しています。

きっと友人らからすれば、子どもは「永遠の子ども」なのでしょうが、私から見れば、高校生であったとしても、立派な大人として、意見もあり、好みもあり、苦手もあり、凸凹のある、人並みの人間です。

だから、とくに子ども扱いすることなく、ちょっと歳の離れた後輩程度の感覚で接するようにしています。そう思うと、とても楽に付き合えて、向こうも構えることがなくていいようです。

会社の経営者をしている時から、かなり世代の違うスタッフを採用したり、育てたり、時にケンカしたり、傷つけられたりもしながら(逆ももちろんだと思いますが)、共存してきました。

自分の子ども世代であろう大学生や専門学校生を大量に受け入れる仕事もしていて、彼らと日常的に接する機会もありました。

ハワイでは、シニアの皆様方と友人的なおつきあいをさせていただいていましたし、年齢や立場や人生のステージで人を区分けするようなことがなくなったんですね。

子どもコーチングは効果てきめん!

先日、日本で、まさかの「子どもコーチング」の機会が訪れました。

クライアントは、仙台のコーチ・たきのさわ瞳さんの長男、ゆうま君(実名)。

最近、学校に行かなくなって久しいという彼。

いわゆる登校拒否児、ということのようですが、でも別に荒れているわけでもなさそうです。

ただ、勉強に意味を感じず、学校に意味を感じず。

それを素直に表現すると、不登校、ということになった様子。

そんな背景もあり、シングルマザーに育てられ、大人の男性との接触が極めて少ないこととか、働く姿を見せたいとか、いろいろあっての、子連れ対面コーチング in 東京となりました。

最近のセッションのテーマでもある「未知の体験」とかを意識して、場所は東京駅を見下ろすフォーシンズ・ホテルのカフェ・レストラン。

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お母さんの瞳さんが席を外している時、しょうがないので(苦笑)、頼まれているわけではないですが、ゆうま君とのコーチング的対話が始まりました。

上「学校、嫌いなの?」(直球勝負・笑)

ゆ「うん」

上「勉強が嫌い?」

ゆ「うん」

上「でも、全部の科目が嫌いなわけじゃないでしょ。好きなことだってあるよね?」

ゆ「うーん、家庭科は好き」(キラッと目が光る)

よーし、来た来た~と心の中でにんまりする私。

コーチは、こういう心の隙間が開いた瞬間を見逃しません。

男の子が、恥ずかしがることなく「家庭科が好き」と表現することって、実にまれだったりしますよね。

もちろん草食系うんぬん言われる現代ではありますが、それでも、たぶん確率的には少ない気がします。

彼が「好き!」とキラキラ表現したこと、そしてそれが、「割りと普通ではない」答えであること。

コーチング的に見れば、それぞれに、突っ込め~というサインで、しかもそれが「複合的」に提示されたわけです。

彼の深いところへ入っていくドアを、彼が自ら開けてくれたんですね。

上「家庭科、好きなんだ~。家庭科の何が好きなの? 料理?」

ゆ「うん!」

上「裁縫とかも好きなの?」

ゆ「うん、嫌いじゃない」

上「そっかあ。いつも家では料理するの?」

ゆ「ううん、あんまり」

上「なんで?」

ゆ「お母さんがするから」

上「自分もしてみたい?」

ゆ「でも…、上手にできないし…」

で、ここでお得意の「誰でも最初はできないんだよ」トークが展開されます(笑)。

大人も子どもも、一緒です。

自転車だって、最初は転ぶよね?って、例え話も一緒ですし、記憶に新しい分、それがちゃんと響きます。

上「作ってみたらいいよ。この和牛バーガーだって、自分で作れば、安く作れるよ」

ゆ「えー、ほんと~!?」(すごく高い値段を見ているのと、大きな声で何度も言うほど美味しかったらしいので、やたらと反応良し)

上「そう、普通、家で作るハンバーガーには、パン粉入れたり、卵入れたりするけど、これは牛肉だけで、豚肉も入ってないんだよ。アメリカ人のハンバーガーは、牛肉だけで作るんだよ」

ゆ「え、そうなの? 全然違うね!」(目がキラキラ)

上「その方が逆に簡単だしさ。そうだ、将来はさ、自分でレストランとかやればいいよ。やりたい?」

ゆ「うん!(とブンブンうなづく)

上「でも、レストランやるんだったら、売上とか計算できないと駄目だし、算数は必要だよ。ガイジンさんたちが来たら、英語で注文聞かないとならないしね」

ゆ「英語キライ…」

上「誰でも、慣れればできるようになるよ」

ここで、瞳さんが戻ってきて、顛末を簡単に報告。

瞳「じゃあ、ゆうま、家で御飯作ってくれる?」

ゆ「いいの?」

瞳「うん、一日500円あげるから、それでやりくりして、美味しいご飯作って~」

ゆ「余ったお金は?」(意味ありげに)

上「あげるよ」(と、勝手に介入)

ゆ「やった~!  じゃあやる!!」

彼の顔は、まるで別人のように意気揚々と輝きまくっていました。

その顔は、瞳さんが長らく見たかった、純粋無垢な笑顔のようでした。

彼にはどうもゲーム関連の買いたいものもあるらしく、自分で予算をコントロールしながら、自分で「稼ぐ感覚」で、手に入れることができそうなことを心から喜んでいました。

「ちゃんと皆が美味しいって言ってくれるのを作るんだよ。栄養もしっかり考えてね」と言うと、顔も引き締まって、すでに彼は「責任者」の顔をしています。

子どもも大人と同じで、役割託されて、仕事の意味を教えられて、それが自分のメリットにも繋がることがわかれば、スイッチ入ってキラッと光るんですよね。

ゆうま君にとっては、料理、というキーワードと、稼ぐってことが繋がって、俄然やる気になってました。

「この店、すごいね」って、帰り際に冷静に言った彼は、すでに業界人の顔つきです(笑)。

いやあ、コーチングで未来のシェフを誕生させてしまったのかもしれません。

子どもの生き方が変わったコーチング体験に
コーチである母もビックリ

その夜遅く、仙台に帰った瞳さんから、写真付きでメッセージが届きました。

img_827c535bd489-1瞳「ゆうま、本当にカチッとスイッチが入って、夜ご飯作りました。

楽しいの連発で、今度上野さんにつくるんだ‼︎ だそうで。

ご飯をつくること。お金を稼ぐこと。ゲームができること。楽しくて幸せだと連発してます。

すごいなぁ〜。

今日から、あの子の生き方が変わったようです」

うわー、今までのどんな「お客様の声」よりも、嬉しい言葉かも(笑)。

邪心も飾り気もない、まっさらな子どもの言葉だからこそ、力強く私にも響きますし、何だか勇気を100倍にもいただきます。

瞳「ずっと、献立てと資金繰りを考えてて、なかなか寝ようとしません(笑)」

いやいや、それもこれも、そうだ、東京に連れて行こう、コーチに会わせちゃおうという直感に勇気を持って従った、瞳お母さんの愛情ゆえの結果だと思います。

新幹線代のもとくらいは取れたかな?(笑)

それから5日後。

「料理ってオモシロイ!」って言いながら、毎日の料理が朝と夜、時々昼、と続いているようです。

初めて作ったオムライスも美味しそう。

子どもだから、台所は危ないから、男の子だから。

いろんな言葉で「できない理由」「やらせない理由」を考えがちですが、やってみたらこんなもの。

アメリカのテレビ番組では、子どもシェフがいっぱい出てきて、料理の腕を争ったりしています。

大人が勝手に決めつけちゃいけないよね、過保護は一番の罪だよね、とあらためて思います。

フォーシーズンズ丸の内のカフェから眺めた空は、とても青く澄んでいました。

10歳の心に、この日の出来事や、東京の明るい風景が、深く刻まれて残ることを祈ってます。

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