アメリカで体験する離婚。「幸せ」を選択するために知っておきたいこと

アメリカの離婚

親が突然、入院して、日本でバタバタする前に、かなり終わっていた『ライトハウス』の10月1日号向け特集記事。おかげで、ロサンゼルスに戻り、1週間ほどあった間に、何とか完了することができました。

でも、最後まで粘ったインタビュー掲載の方もいらして、そこで思わぬ難航をしました(汗)。やっぱり、この問題は、他のことよりもはるかにデリケートだし、言葉の選択ひとつを取ってもセンシティブにならないといけないのでした。

特集は、こちらの電子版でご覧になることができます。

⇒ 『ライトハウス』10月1日号 「アメリカの離婚」

自分は結婚しているわけでもありませんが、「関係の終焉」「関係の精算」という意味合いにおいて、とても関心が高いトピックスでした。体験談もとても勉強になることが多く、担当させていただいて良かったなと思っています。知識としても、ああ、だから、離婚はたいへんって皆が言うんだな、というのも良く分かりました。

日本は離婚届に記入して、ハンコを押して役所に提出すれば、それで終わり、みたいなところがありますが、ドライで効率重視のアメリカの方が、はるかに離婚は重大事です。

宗教上の理由により、結婚した後の離婚は許しがたいという風習が残っていたり、そのために制度そのものが複雑化していたり。あるいは、結婚は「契約」であり、その解消には、やはり契約解除に関わるもろもろの手続きが必要となってくるという複雑さがあります。

カリフォルニア州の例で言うと、財産は均等に分配しなくてはならず、結婚していた期間内に培った資産、負債、収入、経費など、すべて明細を出して正確に算出しなくてはなりません。

子どもの親権においても、ジョイント親権が多く、つまりは子どもは、親の家を1週間ずつ行ったり来たり、ということもしなくてはならなかったりします。親権にも、フィジカルな親権とリーガルな親権と別々にあったり、国際結婚ではとくに話題のハーグ条約みたいなものがからんできたり。

 逆に慰謝料という制度はなくて、どっちかが浮気したことが原因とか言っても、そこは問われず、均等は均等です。

働いていなかった奥さんの方が、学校に行き直して仕事に就くまでの補助的なお金は出たりしますが、それも期間限定。とてもフェアな金額で、精神的に傷つけたことの補償なんてものは、カリフォルニアには存在しません。

せっかく始めた関係、誰も好き好んで終わらせたくなどないはずです。でも、終わらせるのであればスムーズにできるに越したことはないし、そのことで子どもが影響を受けるのは何が何でも避けなくてはなりません。やむを得ず受けていくわけなので、それを最小限に留める努力をする「パートナー」として居続ける努力はしていかないとならないですね。

『ライトハウス』では、毎号必ずモニターさんに細かなアンケートをお願いしているのですが、「自分には関係ないかもしれないけれど意外に面白かった」「体験談が良かった」という意見がありました。ぜひ、よろしかったらご覧になってみてください。

毎回の特集がそうなのですが、たった6ページで大きなトピックスのマニュアルが作れるわけはありませんので、役割は「全体像を俯瞰して見られること」だと思いながら作っています。一覧性に優れた情報誌ならではの役割を意識し、なるべくグラフィックで親切に。今回は意図的に文字ばかりになりましたが、楽しく作らせていただきました。離婚を奨励するものでもありませんし、無理して結婚続けなさい、というものでもありません。すべては本人次第です。関係者の皆さん、ありがとうございます。

⇒ 『ライトハウス』10月1日号 「アメリカの離婚」