おばあちゃんちの近所の煎餅屋は天然素材しか使っていなかった

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機内で最初にドリンクと一緒に配られるスナックをじっくりと見て、ちょっと複雑な気持ちになりました。最近の日本は、重要なアレルギー反応を引き起こしかねないアレルゲンを表示することになっていますが、本当はもう少し左側の「原材料」のところに気を配れたらいいのになと思います。ぶれておりますが、あまりにもたくさんの原材料名が並び、ノン・ナチュラルで、添加物モリモリなのが見えますでしょうか。これが日本のメインストリームの「お菓子」であり「食品」ですね。

昔、おばあちゃんちに遊びに行くと、親戚の叔母ちゃんらがおせんべい屋さんに連れて行ってくれました。お米だけで作ったせんべいが焼きあがる寸前に醤油と味醂(多分、あの頃は無添加しか売ってなかった)のシンプルなタレをサッと刷毛で塗って、軽く焼いたところで手渡されます。ホカホカパリパリの焼きたて醤油せんべいは、香ばしいなんてもんじゃなくて、風味豊かで極上の美味しさでした。我々はあんな簡単なプロセスを、なぜこうも複雑にしないと「美味しい」と感じなくなってしまったのでしょう。

本物の材料を手に入れることが難しくなったのと、生産量を上げないとビジネスにならなくなったのと、保存ができないと話しにならないのと、いろんな事情があって、添加物メーカーさんが大活躍していることは、「食品の裏側」でリアルに描かれていた通り。あの頃の自然な味は、今では贅沢品以外の何物でもありません。いや、そもそもあの味が「なんか物足りない」と感じる舌に作り替えられてしまっているのです。 

ウチにある調味料も、とあるプライベート・ブランドものが多く、原材料名の長さや化学成分の多さについては推して知るべしな状態。化学実験の研究室で、白衣を着た人が作っているイメージです。みりん、ではなくて、みりん風調味料。しょうゆ、ではなくて、しょうゆ風調味料。万事がそんな感じ。僕がこの7−8年で抜け出た世界がここには当たり前のように存在していて、まるで悪い夢を見ているかのような気分になります。日本ではなかなかそれ以外の選択にお目にかかれないのが残念。

切ることをあきらめるほどの大きな胃がんが見つかった父も、検査する直前まで下記のスティックカフェオレとやらを毎日好きで何杯か飲んでいたようです。箱があったので写真に撮ったのですが(またしてもブレブレでしたが)原材料名は見えるでしょうか。確かにこういうの、飲むと美味しくて癖になってしまうものであり、世界中の化学技術がいっぱいに詰まった素晴らしい発明品なのかもしれません。

いかに人工的に自然よりも美味しいものを作るのか。そこに挑戦していったプロジェクトX的仕事現場に罪があると思っているわけではありません。ただ、盲目的にこれらを「認可されているものだけを使った『合法』の商品だから」と受け入れている人々には、もう少し自分の身体を大切に考えて、慎重に調査し、自らの手で判断をし続けた方がいいですよ、とお伝えしたい次第です。

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