WDSイベントのゲストスピーカーとして参加したギャビン・アン・タン君は、オーストラリア在住の30代。グラフィック・デザイナーとして働くも、過酷な勤務体制で深夜残業ばかり。とうとう8年間で燃え尽きてしまいます。2012年のことです。
でも何をしよう…と考えた時に思いついたのは、子供の頃から好きだったマンガ。いつもノートの隅に絵を描いて楽しんでいた。それで何かビジネスにできないか。
時はソーシャルメディアの時代。いつもWikipediaで偉人のストーリーを読み、素晴らしいQuoation、いわゆる名言からインスパイアされていた。
そうだ、それに絵をつけてはどうかと思い立った彼。ウェブのことも何も知らないままに会社を辞めて、ジャンプスタートを切ったそうです。
結婚もしていたものの、家を売り、これで半年は無収入でも食べていける。
起ち上げたサイトが「Zen Pencils」。
それからはひたすら机に向かってがむしゃらにマンガを書く日々。それが新聞社や有名ウェブメディアの目に止まって、一気に飛躍します。
今やオンラインショップで、しっかりしたアートクオリティのインスピレーション・ポスターを販売してビジネス展開しています。どれもほしくなるような素敵な絵、素敵なデザイン、そして素敵なメッセージです。
今回は、イベントのオフィシャルポスターを制作し、なんと、参加者全員にお土産にくれるという大盤振る舞い。もちろん主催者からのサプライズです。
(余談ですが、本当にこういう絵の方々がいるイメージです。フツーの感じのアメリカ人が多いんですよ。)
「会社を辞める前に考えようね」と言って、皆を笑わせるギャビン君。彼は先に辞めちゃって、もう後がない状態で始めたわけですが、プランBがあると、まあ精神的には安心だよね、と、初々しく話します。
そこはどうでしょうね。僕もたいした準備もできないまま、まあ一年くらいは食べていけるし、と思って辞めちゃった口。なかなかプランBやバックアップがある間は、本気が出せないってのもありますよね。まあ、もちろん最低限の準備はしていましたけどね。
しかし英語でビジネスを展開すると、こうやってオーストラリアからヨーロッパ、アメリカ他、「世界」が市場になっていくんですよね。それって、ものすごく有利ですよね。自分もせっかく英語の国にいるのだから、でっかい市場でできることもちゃんと考えていこうと思います。
何はともあれ、成功の秘訣は「人をインスパイアすること」だし、そのことを通じて、社会に大きな意味で貢献していくことなんですよね。