これから先の生き方を考えるにも、ビジネスをするにも、「世の中を知る」ことは必要不可欠です。
人々の意識や価値観はどう変わっているのか。テクノロジーはどこへ向かって変革をしているのか。社会はどう姿を変え、どのような新しい消費マーケットを形成していこうとしているのか。
世の中を俯瞰して、大きなうねりのような潮流を肌感覚で察知するには、やはり「日常的に」、「大量の情報」を、「同時多発的に」取り入れなくてはなりません。
限られた時間の中でそれをするには、高性能なパラボラアンテナを身につけて、瞬時に、効率よく、必要な情報だけをインプットするスキルを磨くことが大切になってきます。
もちろん、取り入れた情報は、自分というフィルターを通して整理し、「知恵」として昇華していくことで、はじめて、ものごとを正しく見て判断するための価値基準が身につきます。
それこそが、目的です。
すべての情報ソースは、発信者の個別の事情やポリシー、解釈によって「編集」「加工」されています。インターネット上には、信頼性のレベルがバラバラの情報が同列に並んでいますから、そのまま文字通り受け取っていては危険です。
情報を文字通りに信じこむのではなく、能動的に取りに行きながら、主体性を持って解釈していく姿勢とスキルを身につけることが重要な理由はそこにあります。
以下に、収集すべき情報の種類、手法、そして高性能フィルターを形成 していくための簡単なヒントをまとめてみましょう。
どんな情報を収集すればいいか
まずはあなたにとって重要な「世の中」とは何かを定義することから始めるべきではありますが、長くなるので、ここでは一般論として、最低限おさえておくとよいのではないか、という情報ソースについて、思いつくままに書いておきます。
1.まずは、世の中で「何が起こっているか」を知るための情報ソースです。ニュースサイトや、まとめサイトなどがそれにあたります。
2.「誰が何を言っているか」という、起こっていることについて解釈を加えながら、意見しているようなブログやコラムなども、多彩なものの見方を知る上で有用です。
3.市場を把握するために便利なのは、「誰が何を買っているか」ということが分かるニュースや読みもの。あなたにとって大事と思われる市場を中心に、それらを真っ先に購入してレポートしてくれているようなブログなどは参考になります。信頼できるブロガーを発見して、彼らのリアルな体験を読むことで、擬似的に体験できるのがメリットです。
4.「何が売れているか」も市場の動きを知る上で重要な情報です。業界スタンダードのニュースサイトなどから、客観的なデータを入手することで、現実が立体的に見えてきます。(もちろん数字の見方や解釈には気をつけなくてはなりませんが。)
5.「どんな新しいツールが出てきたか」という、最新技術やツールに関する情報も便利です。ライフハック系の情報サイトには、このような情報があふれており、効率や生産性を向上させる手法、ツールが山ほど紹介されていて参考になります。
6.「どんな問題が社会にはあるか」も、ひとつの軸として加えておくと良いと思います。コンシャスライフ系の情報サイトには、このような社会問題に関するニュースがあふれています。
情報を効率的に大量摂取するためのヒント
上記の情報ソースを全部読もうとすれば、とんでもない時間が必要に思えますが、それでは他のことが何もできませんし、そんなことをしている人は世の中にはきっといません。物理的に不可能でしょう。
ではどうするか。皆、工夫を凝らしている分野だと思いますが、これまで私が聞いたり、読んだりしてきた中で効果的だと思っているのは、このような手法です。
ご自分で試してみながら、最も適した方法を身につけていってください。これは、スポーツのように、練習していけば誰にでもできることです。最初は時間がかかりますが、そこでひるまず、慌てず、諦めず。じっくりと2−3週間続けてみることで、気がついた時には、すーっと楽に呼吸するようにできている自分に気づけるでしょう。
1.RSSリーダーを賢く利用する
今やあまり主流とは言えなくなってきた感のある情報収集手段ではありますが、私はまだまだ便利に使っています。ブログやニュースサイトなどは、更新情報を「信号」として発信しており、それをキャッチするRSSリーダーを利用すれば、更新した記事だけを効率よく読むことができます。
Googleリーダーが代表的なツールでしたが、すでにサービスを中止。現在は、FeedlyやReederなどが、代替ツールとして人気だと思います。私はFeedlyを使っています。
このアプリに、気に入ったサイトをどんどん登録し、カテゴリ分けしておけば、更新された記事のタイトルだけが表示されます。
いちいちそれぞれのウエブサイトに行かずとも、このアプリ内で各サイトの内容が閲覧できるので、時間効率の良さは圧倒的です。
私のアプリには、おそらく50以上のウエブサイトが登録されていて、日々更新される数百もの記事のタイトルを、瞬時に目にすることが可能です。世の中で発信されている情報を「俯瞰する」感覚が大事なんですね。
気に入ったサイトは残し、こりゃ読む価値ないなと思ったら即座に削除。そうやって、どんどんと新陳代謝を繰り返して、自分だけの情報フィルターを磨いていくと良いでしょう。スマートフォン、タブレット、PCなど、すべてのデバイスで共通のコンテンツが楽しめて便利です。
2.信頼できる情報通のツイッターをフォローする
ツイッターの重要な役割のひとつは、良い情報を拡散するというキュレーションメディアとしての機能です。
信頼できる有名人や情報感度の良いブロガー、団体などをフォローしておくことで、彼ら自身が発信する情報はもちろんのこと、彼らが「良い」と思った記事もリツートされてきます。
信頼できる人の情報フィルターを利用して、情報の「雑念」をあらかじめ除去することができますし、同時に、自らのフィルターを形成するための参考にもなることでしょう。
3.ニュースアプリを購読する
グノシーやニュースピックス、スマートニュースなど、自分の好みを理解して、「必要」「最適」と思われる情報だけを選別して配信してくれるキュレーション・アプリが人気です。
その他にも、LINEニュースやYahoo!ニュースなどのアプリも、定番。女性向けに人気のAnntenaなど、個性豊かなものも出てきて、百花繚乱。
いろいろ使って見ながら、自分にぴったり来るものを選ぶと良いですね。
私は前は使っていましたが、広告が入るようになったり、数が多過ぎてしまったりすることもありますし、あまり個人的に「ニュース」というものを必要と考えていないので、今は利用していません。
日本のニュースは、アメリカのTVで無料で流れるFCIニュース(フジテレビ系のニュース+バラエティ情報)、NHKの英語ニュースを早回しにしながらタイトル字幕だけ見て、同様の効果を得ています。時に重要、もっと知りたい、と思った時にはもちろん止めて見ますが、そうでない時は、1時間の番組を5分くらいでスキャンしたりして、俯瞰効率は良いです。
TV局の編集者が、「海外在住日本人が知っておくべきニュース」というフィルターをかけて選んだニュースだけが放送されるわけですから、必要十分と心得ています。
4.見出しだけ、ざっと斜め読みする
上記をツールとした時に、一日に触れることが可能なニュースや記事の本数は、日英合わせて、数百本から、ヘタしたら千本を超えていきます。
「そ、そんなにたくさんの記事を読むのはとても無理~!」と、のけぞってしまうかと思いますが、そんなことをする必要はまったくありません。
見出しだけを、ざーっと流し読みすれば良いのです。
良いウエブサイトならば、タイトルにすべてが込められていて、おそらく何が書いてあるのか、一目瞭然になっているはずです。
タイトルは、10文字から、長くても30文字程度。Yahoo!ニュースのタイトルは、最大13文字と制限されています。一瞬で内容が把握できる短さです。
もちろん、皆、キャッチーに書くことで、クリックしてもらおうと必死なわけですが、いちいち釣られて読んでいたら、時間がいくらあっても足りません。ここはあくまでも「眺めて」「感じる」が目的だと思ってください。
5.POCKETを使いこなす
Pocketという便利なアプリ、ツールをご存知でしょうか。以前は、「Read it later(後で読む)」という名前のサービスだったのですが、改名してポケット、となりました。
ニュースサイトやウェブブラウザーと連携して、これは後でゆっくり読んでみたいな、と思った記事を、「貯めておく」ことができるツールです。ブックマークとの違いは、記事全体がコピーされ、わざわざオリジナルのサイトに行かなくて良いことです。行ったり来たり、サイトを飛び越える時の待ち時間ほど無駄なものはありませんから。
4番では、見出しだけを見れば良い、といいましたが、中には、自分にとって重要な、とても興味深い記事が必ずあるでしょう。これ!と思った記事は、すべてポケットに登録して、後でまとめて読むようにするのです。
見出しを見る時は、極力、見出しを見ることに専念し、とにかく早く「全部に目を通してしまいます。」
そして、後で、ポケットに移って、保管しておいた記事を再度見渡して、優先順位の高そうなものから、読んでいけば効率は上がります。
ポケットにはもうひとつ、意図しない効果もあるようです。
ポケットに入れた記事を後でゆっくり閲覧しようと思って一覧を見ると、「あれ、あの時は何で興味あったんだっけ?」と不思議に覚めている自分がたりします。さっきは衝動的にクリックして読みたかった記事なのに、今はそうでもない…。
2段階のフィルターを通すことで、こけおどし的なタイトルに踊らされて、次々にクリックしてしまう衝動を抑えることができ、落ち着いて本当に必要なものだけを読むことができるようです。
フィルター性能を磨く唯一の方法
俯瞰して眺めた大量の情報や、厳選してジックリと読み込んでみた記事は、あくまでも「知識の素」です。
それをどう解釈して、どう理解し、どう生かしていくかは、あなた次第。
文字になっているからと鵜呑みにしていると、とんでもないことになってしまう可能性があるほどに、情報の質にはバラつきがあります。
だから、自分なりの価値基準をフィルターとして、情報を整理整頓しながら受け止める必要があり、フィルターの性能を磨くには、「アウトプット」が唯一のトレーニング方法になると考えます。
アウトプットには2種類あって、ひとつは「行動」、もうひとつは「発信」。
見たこと、聞いたことを行動に移してみれば、それが本当かどうか分かります。そして、断片として受けた知識が、繰り返された体験を通して初めて立体的な「知恵」となっていきます。行動なくして、本当の学びはない、と言っても良いのかもしれません。
また、発信することによって、必然的に受け取った情報を「再構成」しなくてはならないので、そこでも解釈や論理の構築力が磨かれます。人に教える、というのも、ひとつの発信の仕方であり、情報を「自分のものにする」最善の方法として薦められています。
まとめ
大まかではありますが、私が実践して、効果的だなと思う方法を中心に、情報を大量摂取して、自分の中に高感度アンテナを構築していく方法について、まとめてみました。
「情報を制するものは◯◯を制す」とは良く聞く言葉ですが、インプットだけをしていれば良いわけではありません。ただ、上質なインプットがなければ、上質なアウトプットもできないというのは、その通りではないかと実感してきました。
これらの情報の他に、良質なドキュメンタリーを見たり、フィクションで感性を磨くことも大事です。本当に、時間がどれだけあっても、足りなく見えてしまいますね(笑)。
何はともあれ、最も大事なのは行動です。だから、インプットはほどほどに、を心がけましょう。インプットに溺れて、アウトプットができないなんて、もっての外だし、インプットに依存して、アウトプットを怠っていたら、何も実現しません。
バランスを上手に取りながら、情報の大海を、パドルサーフィンをするかのように、ゆったりと進んでいけたらいいなと思います。