国会議員もセクハラ野次、というニュースであらためて思うことを整理してみた

都議会の野次の時に、こりゃまた、とんでもない時代錯誤な感覚が残ってるんだなと思ってブログに書いたのですが、その後、思いもかけず見当違いな議論や反論がネットを賑わせ、不思議な気持ちで眺めていました。

意見なんて十人十色で良いとは思うものの、このことに関しては満場一致だろうと勝手に思っていたら全然そうではなくて、自分の常識はとことん疑ってみないといけないなと再認識するきっかけとなりました。同時に、日本の「今」の意識をスナップショットに見せてくれて興味深いものがありました。

セクハラという表現自体、今回の場合は適切ではなく、本来はセクシズム=性差別主義と呼ぶべきこと。野次を飛ばした方は、性差別主義者=セクシスト。(下記CNNの記事を参照) メディアが早々に正してくれないかなあ、と願っています。

⇒ CNN World “Tokyo assembly member apologizes for sexist heckling of female colleague

そしてもっと言えば、僕がブログで書いたように、あれは男女を超えたところでの、人の権利の侵害、蔑視でもあったはず。言った人を責めてもしょうがなくて、「あ、こういう風に考える人が今も残っているんだ、じゃああらためようね」と社会全体に残る旧時代の思想に気づいて、対処をするような動きがあるのかな、と期待しました。

どこかできちんと「こういう考えって、おかしいことなんだよ」と根っこから誰かが考え方のスタンダードを示してあげて欲しかった。権威ある総理とか、議長とか、総裁とかがいち早く動いて。

なのに、本来、責任ある立場の人達が動かなかったどころか「そんなに大事なのか、これ?」というスタンスで捉える人が少なからずトップにいたことで、あれ、この社会ってヤバイんじゃない?と残念な感じで世界に映ったわけですよね。先進国なはずが、あれ?って。考え方や意識の面では、必ずしも先進、じゃないところがあるんだなって。

僕も賛同して加わった署名は、結果、10万人も集まったそうです。彼らを中心に講習会なども開かれています。いつまでも「女性蔑視」的な論点で留まっているのは残念ですが、まあ議論が公にスタートし、注目を集めたのは良いことでしょう。問題は表に出して、公開の場で話して解決していかないと。

しかし、それでもなんかモヤモヤしたまんまになってるなあ、と思っていたところへ、今度は国会議員さんの話が出てきました。4月に遡ってのこと。そして、この方の野次を聞いて、「あ、これこれ! これだよ」と思ったので、書いておくことにしました。

TVで見た映像で、この方は「子供を産まないと駄目だぞ」と言っていました。駄目だぞって、まるで自分の娘を諭すような口調で。

そうなんですね。日本では(あるいは世界の結構な国でもきっと)、結婚は、して当たり前。子どもも、産んで当たり前。そうしない人は「駄目じゃないかぁ」と叱られる対象だったりした時期があったわけです。いや、それは過去のことと思っていたら、まだ全然、そうじゃないみたいなんです。

それはしてもしなくても良い選択のはずなのですが、まるで親戚の集まりのような感覚で、平気で公に口にできてしまうほど、どこかで時計が止まっている人たちが大勢いる。考え方をアップデートできてない人たちが国を動かすポジションについている。しかも女性の社会進出や少子化や晩婚化などの議論に平気で加わって、問題提起をしようとしている議員を茶化して問題をないことにしてしまう。

僕にはそのことが驚きだったんですね。

せっかく、結婚したり子どもを作ったりすることがやりにくい社会の問題を話し合おうとする場にいる人たちが、「しないヤツが悪いんだよ」って内心、思っているならば、解決策を真剣に考えることもきっとしないし、できないでしょう。「当たり前」と思っていること、義務のように考えてしまっていることを見直さないと、キョトンとして「何が悪いの?」と言う人はいつまでもいなくならないと思います。

「結婚したくてもできてない人や子どもが産めない人が聞いたらショック」なのはもちろんそうなのですが、「結婚しない選択をしている人」や「子どもを産まない選択をしている人」に対しても、義務でもないことを無理強いするような考え方になっているわけで、その辺のことが、署名を募った方々たちの間でもあまり問題になってないし、メディアでもさほど取り上げられてなくて、ちょっと一面的に捉えられているところもあるように見えます。

駄目だぞ~って言われるのが面倒で、海外で生活することを選択した人もたくさんいると思います。僕は別の意味で面倒だったし、恐怖ですらありました。社会がそういう風に強制しているように感じて、30歳になる頃はもう居心地悪くて仕方なかった。

話は飛ぶようですが、日本でもLGBTの結婚が合法化されれば、結婚率は多少、上がっていくでしょう。養子縁組の自由度が高まれば、海外から養子を取る人も増えて、少子化が少し緩和されるのかもしれません。養子制度が一般化されれば、中絶を選択している人たちが思い留まって、里親を探す動きになるのかもしれないし。

政治家って、そういう制度のレベルのことを話し合う人たちですよね。