シアトルで、ウエルネス・フェアという小さなイベントに参加してきました。
今回がはじめての開催。住宅街のきれいな医療系オフィスをお借りして、4人のスペシャリストが個別に30分ずつ、イントロダクション的セッションを提供するというもの。
参加者は17−8名。鍼、ライフコーチセッション、スピリチュアル・カウンセリング、そしてリフレクソロジーと、各個室を回ってセッションを受けていきます。一度にマインドとボディとスピリチュアリティとを刺激してもらえて、なかなか良い趣向の試みですよね。
多くの人にセミナーをするのも良いし、少し少なめの方々とどっぷりワークショップをするのも良いのですが、個別のセッションはまた全然違う密度と重みがあります。
ひとりひとり理解も違えば、ステージも違う。必要としている言葉も学びも違う。例え30分と言えども、その方の反応や話す言葉を聞きながら、内容を自在に変えていける個人セッションは面白いものだな、短時間でもそれなりの意義はあるな、と感じました。
主旨が癒やしを前に出したものだったこともあり、参加者はひとりを除いて全員が女性です。30代後半から50代前半というイメージでしょうか。
お話を伺うと、結婚生活のこと、お金のこと、子供が巣立った後の人生のこと、離婚のこと、老後のことなど、皆さん、それぞれに不安や悩みを抱えていらっしゃるようです。
子育てを終えた後の「自分の」人生というのは、ハワイでもLAでも良く聞くテーマ。学校の送り迎えはもちろん、習い事への送迎、学校のボランティア、大量の宿題の手伝いなど、アメリカでは子どもの教育に関わる時間が長くて、生活のすべてが子ども一色になっていく。そんな時期を10年~15年続けてしまうと、それがない生活が想像できなかったりするのでしょう。
「突然、旦那と2人きりになって何を話せばいいのやら。」
「いっそ、養子でも取ってまた子育てしたいわ。」
そんなことを真顔でおっしゃる方もいます。
仕事をしている方でも、キャリアアップに悩んでいたり、起業とかしてみたいけれど、今の安定を失うのは怖いし、と揺れていたり。仕事はしていても小さな規模で自分が休めば収入も入ってこない状況を改善したいとビジネスのコーチングを求める人もいる。
かと思うと、シングルマザーで、それこそ子どもが巣立てば、完璧にひとり。それってどんなことなんだっけ、と不安もありつつ、何か新しい可能性が開けそうな期待も複雑にからんで、揺れているという方もいらっしゃいます。
揺れている、というのも、要はロールモデルが確立されてないということが要因としてある気がします。誰々のようになりたい、という選択肢が今ひとつクリアに見えない。パターン化されたものがない。
男性の場合は、いろいろと世の中で語られているし、成功への道筋、リタイアへの道というのも見えやすいけれど、女性が子育て終えてから、そこからもう一度、自分らしい人生の「スタート」を切っていく時に何をどう始めたらというのが分からなくて、アイデンティティ・クライシスに近いものを感じている人も多いようです。
お母さんとしての自分。女性としての自分。そしてひとりの人間としての自分。しばらく振りに向き合う「自分」という存在。皆、どうしてるんだろう、と見回しても、あまりにも立場がバラエティに富んでいて、パターンにはめにくい。子どもがいない人もいる。結婚していない人もいる。それぞれに全然、生き方や人生に対する見方が変わってしまうものなのだろうなと想像します。
フルタイムで働くのが当たり前のお父さんにはない、女性固有の悩み。これからもっともっと語られていくべきテーマですね。