もし過去に戻って人生の一部をやり直せるとしたら、あなたは何をしますか?

累計130万部突破というベストセラー「流星ワゴン」が今、テレビドラマとして放映されていますね。

Kindle化されていたので、早速、原作を読んでみました。人生や、家族との関係、夢、希望などを深く考えさせられる作品で、とても読みやすくエンターテインメント要素も高い中に、ずっしりと残るものがありました。

実はタイムトラベル的な要素が入った物語は大好きで、それが馬鹿げたおふざけものでなく、真剣に人生の意味について考える機会を提供しているものであったりすると、飛びついてしまいます。

タイムトリップをして、「人生をやり直す」テーマで過去にはまったのが、25年前に読んだアメリカの小説「リプレイ」です。あまり本を読み返すことのない自分が、何度も繰り返し読み、人にもおすすめしまくったほど、鮮烈な内容でした。

冴えない人生を送っている43歳のDJが、ある日、心臓発作に襲われます。ふと目が開いた時には、学生に戻っていました。今までの記憶も知恵もすべて持ったまま、時間と身体だけが戻っています。その後に世界で何が起こるかを知りながら、人生をやり直すことになるというストーリーです。

単に戻るだけじゃなく、今の中身のまま戻れる、というのは理想ですよね。彼は歴史的な競馬のレースか何かの結果を覚えていて、あらゆるお金をかき集めて見事に大金を手に入れます。

こうだったら良かったのに、と思っていたことをすべて実行し、充実した人生を送りながらも、43歳になると再び発作が起きて過去に戻ってしまいます。せっかく手に入れたものや人との関係がすべてゼロに。大切な人との永遠の別れの残酷さ、築き上げたものを失う虚無感…。3度目の人生はさて、どうなるでしょうか。

これ以上は、ネタバレになるので控えますが、今も手に入るので、ぜひ彼の体験することを、読書を通じて擬似体験してみることをおすすめします。自分も、いつの間にか、主人公の年齢をとっくに超えていることに気がついたので、また読んでみたいと思います。読み始めると面白くて止められないし、ズシンと来て、しばらく立ち直れないような心の動き方をするので、読むタイミングは考えないとな…。

⇒ 「リプレイ

本家、アメリカのAmazonでも素晴らしい評価で、皆が「人生について真剣に考えさせられた名作」と勧めています。

replayamazonusa

映画で言うと、アメリカでは一昨年暮れ、日本では昨年秋に公開された「アバウト・タイム」という作品がありました。軽いロマンチック・コメディタッチで、絶対にチープになりがちな設定なのに、しっとりとした情感で品良くまとめた佳作でした。こういう静かな作品がかえってずっと心に残ったりするものですよね。

遺伝的にタイムトラベラーの素質を持った青年が恋をし、彼女との関係を何とかするために時間を逆戻り。その後のふたりの暮らしの中で、いろいろと葛藤があるわけですが、結局のところ辿り着くのは、「今を大事に生きる」ということでした。

現実問題として、僕たちは人生をやり直すことはできません。が、過去の記憶を手繰り寄せて、自分を「今」に導いてくれた人や出来事に感謝をすることは可能です。そのことで、過去の現実は同じでも、過去の「意味」は変えることができます。

今、この瞬間についてもそうです。

あれもダメ、これもダメ、と今の自分を否定していても始まらない。持っているもの、いる場所、すべてに感謝をし、細かな心配りをし、一瞬、一瞬を「丁寧に」生きることの大切さを、タイムトラベルもののストーリーは教えてくれます。

流星ワゴン」を読みながら、思わず父や母にまつわる記憶を、いくつも引っ張り出していました。きっといろいろたいへんだったろうに、たいへんそうにはしてなかったなあ。だから自分も、なんだかのんびりした子どもに育ってしまったっけ(笑)。

無条件の愛情で精一杯守ってもらっていたことを実感し、深い感謝の気持ちが沸き起こってくるのでした。